1.ビジョンを持とう(Be ambitious!)
札幌農学校の校長クラーク博士は、“Boys! Be ambitious!"(青年よ! 大志を抱け!)という言葉を残して日本を去りました。
このことばは、同校の学生であった内村鑑三や新渡戸稲造たちの心を鼓舞したばかりでなく、明治、大正、昭和を通じて、日本の青少年への大きな励ましのことばとなってきました。それは、日本人の精神的成長と日本民族の発展の力となってきました。
ところが、平成に入り21世紀が幕明けして以来、このことばは急速にすたれつつあります。それは、日本人の精神的堕落と日本民族の凋落の原因となっています。
そこで今日は、“Christians! Be ambitious!"(クリスチャンよ! 大志を抱け!)と声を大にして叫びたいと思います。なぜなら、クリスチャンは、万物の創造主、全能の神を信じる者であり、聖書のことばを真理であると信じる者であるからです。
聖書のことばを通して、神はなんと言っているでしょうか? 旧約聖書の箴言29:18には、“Where there is no vision, the people perish." と書かれています。日本語に訳せば、「幻のない民は滅びる」「ビジョンを失った人は滅びる」。今の日本民族には、幻がありません。聖書のことばによれば、このまま幻を持たずにいけば、日本の政治、経済、社会は崩壊し、日本民族は滅亡する運命にあります。
今の日本人個人には、ビジョンがありません。このままビジョンを持たずにいけば、日本人は精神的に頽廃し弱り果てていきます。今や多くの日本人が自殺してますが、自殺の原因は言うまでもなく、「ビジョンの喪失」にあります。人生の希望、生きる目的を見失ってしまったから、自ら命を絶つのです。
この箴言29:18を逆にすれば、“Where there is vision, the people prosper."「幻のある民は栄える」になります。「ビジョンを持つ人は、多いに成功し、大いに繁栄する」ということです。
2.大きなビジョン(石油の油田)
石油を採掘するためには井戸を掘るように、地中に深く穴を掘っていかなくてはなりません。これをボーリングといいますが、ボーリングをつづけていって石油の油田に突き当たると、油が吹き出してくるのです。そして油田の埋蔵量の分だけ石油を採取することができます。
しかし、石油のボーリングにはリスクがあります。掘っている地下に本当に大きな油田があるかどうかの確認ができにくいことです。ですから、ある程度までボーリングをして石油が出てこなければ、あきらめて別の鉱区でボーリングをすることになります。この費用は莫大なものです。
ある青年が将来の石油王を夢見て、有望な鉱区でボーリングを試みました。私財をつぎ込んで、どこまで掘っても、なかなか油田に突き当たりません。ついに彼はあきらめて転職してしまいました。
ところが、後からきた別の人が、同じ井戸をさらにボーリングしつづけたところ、膨大な油田に到達したのです。この人は自分の会社を上場して、一躍、石油の大会社を経営することになりました。
あきらめて転職した青年はこれを知って、「一度志したビジョンは、それを実現するまでは絶対にあきらめないで努力するぞ!」と固く決心しました。彼は政治家を志し、ついにアメリカの大統領になりました。その名は、ハリー・トルーマンです。第二次世界大戦の終結と終戦処理をし、強力な反共政策を打ち出した大統領です。
3.3つのV
旧約聖書のヨエル書2:28には、こう書かれています。「その後わたしは、わが霊をすべての肉なるものに注ぐ。あなた方の息子、娘は預言をし、あなた方の老人たちは夢を見、あなた方の若者たちは幻を見る」
神はその子供たちに聖霊を注いで、預言をさせ、夢を見させ、幻を見させて、導いておられます。天地万物を創造し、これを完璧に支配しておられる神は、一個の遺伝子にも人知をはるかに超える、偉大な能力を授けておられます。
神は完全・無欠なる秩序の神であって、混沌とした無秩序の神ではありません。神は私たちのために計画をもっておられます。それは災いを与える計画ではなく、平安と将来と希望を与える計画です。(エレミヤ29:11)
① 神はまず、私たちに聖霊を注いで、神の幻(ビジョン/Vision)を見させてくださいます。
② 次に、ビジョンを達成するための、方法と力と備えを与えてくださいます。これが神の仕事(ベンチャー/Venture)です。そして、私たちが主を信頼して勇気をもって一歩を踏み出すと、神のベンチャーが動き出します。
③ その結果として、ビジョンの達成、すなわち神の勝利(ビクトリイ/Victory)を体験させていただくのです。
「Vision」「Venture」「Victory」。この「3つのV」こそが、神が御業をなされる公式です。日本の未来は、日本民族が大きな幻を持つか否かにかかっています。日本人の個人の未来は、各自が明確なビジョンを持つか否かにかかっています。
・・「あなたのなすべき事を主にゆだねよ。そうすれば、あなたの計るところは必ず成る」(箴言16:3)
・・「あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる」(詩篇37:5)
佐々木満男(ささき・みつお)
国際弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。インターナショナルVIPクラブ(東京大学)顧問、ラブ・クリエーション(創造科学普及運動)会長。
■外部リンク:【ブログ】アブラハムささきの「ドントウォリー!」