米ダラス神学校新約聖書学教授ダレル・ボック博士は、同聖書訳のルカの福音書の訳出を担当した。ボック博士は米CPに対し、「キリストと言う言葉は全文の中にありませんが、キリストという言葉を意味する言葉が『油注がれた者』という言葉で置き換えられています。しかしキリストという意味が油注がれた者で置き換えられているだけであって、キリストという意味は変わらず残されたままになっています」と説明した。
「ザ・ヴォイス」聖書訳企画は2004年1月に立ち上げられた。当時トーマス・ネルソンがエクレシア・バイブル・ソサイエティと会合を行い、米テキサス州ヒューストンのエクレシア教会牧師クリス・シエイ氏含む指導陣らによって訳出が考案された。新約聖書の「ザ・ヴォイス」は2009年に出版され、新旧約聖書は先月出版された。
ボック博士は「聖書の御言葉を新たな訳語で伝えることで、読む人々に新鮮さを伝えることができたらと思っています。訳語の置き換えには細心の注意を払いました。御言葉の意味をよりはっきりと伝えることができることを願っています」と述べている。
ボック博士は他の英語訳聖書の訳出にも関わっており、「リビングバイブル」のような他の聖書訳プロジェクトと比べた今回の聖書訳プロジェクトについて「ギリシャ語とヘブル語を知る翻訳者たちが他の英聖書訳者とともに取り組んだことで、今回の聖書訳の訳出に違いが出されることになりました」と述べている。
米バイオラ大学教授のエリック・テンネス博士は、米CPに対し「今回の聖書訳は科学的な芸術性に溢れています。言語は継続的に進化しており、時間の経過と共に変わってくる新たな言語による聖書訳を提示するのは、言語の進化を考察するのに助けになります。聖書訳はただ単に現代人の感覚や考えに合うように訳出されるべきでは決してありませんが、原語の作者が意図した通りのことを現代人が理解できるように促される必要があります」と述べている。
テンネス博士は、「ザ・ヴォイス」の聖書訳について、訳者が御言葉の深い意味を表現できるように模索していることが感じられるとし、「訳語を削除するというよりも、原作者が意図した意味をよりはっきりと訳出しようとしていることが伺えます」と述べている。
テンネス博士はさらに米CPに対し、異なる聖書訳それぞれに異なる需要があると指摘し、「大きな概念や話や対話の一般的な流れを理解するときには、あまりかしこまった訳出ではない方が役立つことがあります。『ザ・ヴォイス』ではそのような試みを実現したものと思えます。しかしより詳しい聖書研究をするのであれば、よりかしこまった訳出の聖書訳の方が良いでしょう」とコメントした。