北朝鮮のミサイル打ち上げに各国メディアが焦点を当てて報じてきたものの、北朝鮮国内のキリスト教徒に対する迫害についてはメディアの注目があまり当てられていないことから、オープン・ドアーズは世界で最もキリスト教に対する迫害が強い国である北朝鮮のキリスト教徒への祈りに世界的に注目を向ける活動を展開している。
米オープン・ドアーズメディアディレクターのジェリー・ディクストラ氏は、米CPに対し「メディアはミサイル打ち上げに注目していますが、オープン・ドアーズでは北朝鮮の内側に住む人々の実態、特にキリスト教徒の運命に世界的に注目を向けてもしいと思っています。北朝鮮国内の人々の暮らしは実質的に無視されてきたと思います。彼らのために祈り、また彼らの人権を守るための活動を推進していきたいと思っています」と述べている。
ディクストラ氏は世界中のキリスト教徒は北朝鮮の実態について把握しているべきであるとし、「北朝鮮という国から金正恩に当てられている輝かしい光を取り除くならば、とても凄惨な図柄が浮き上がってきます。強制妊娠中絶、幼児殺害、たったひとりがイエスの名を唱えたとか聖書を持っていたという理由で逮捕されただけで一族浄化がなされます。このようなことから、オープン・ドアーズでは北朝鮮をこの10年間世界で最もキリスト教を迫害している国として位置付けているのです」と述べている。
公式的には北朝鮮には宗教の自由があると発表しているものの、オープン・ドアーズでは「実際には、北朝鮮国民に何の権利もありません。教会を建てる自由も、家庭で礼拝する自由さえもありません。聖書やその他キリスト教に関連するものを所持しているだけで違法であり、死刑にも値します。北朝鮮国内で福音を伝えることは厳しく禁止されています。ですからキリスト教徒の両親は信仰を子どもに伝えることができず、子どもが十分に大きくなってから、キリスト教を伝える危険を理解させなければならない状態になっています。キリスト教徒は北朝鮮国内で『社会への危険』であり『反逆の西側諸国のスパイ』であると見なされています。北朝鮮国内のキリスト教徒は、金日成、金正日の銅像に頭を下げつつ、心の内ではキリストを礼拝する状況に置かれています」と伝えている。
一方そのような中でキリスト教徒数は着実に増加しており、「現在北朝鮮地下教会のキリスト教徒数は20万人から40万人ほど存在していると推定されています。この数カ月で地下教会キリスト教徒数はさらに5万人から7万人の増加を示したとも言われています。一方地下教会キリスト教徒の中で15万人から20万人が収容所の劣悪な環境下で暮らしていると推定されています。さらに北朝鮮の一般国民も慢性的な栄養失調状態にあり、失業状態が続いています。しかしこのような世界でもっとも残忍な政権下に暮らすキリスト教徒が存在しているということを私たち世界のキリスト教徒が認識することで、一致した祈りを捧げていくことができます」と伝えており、北朝鮮の自由のため世界中のキリスト教徒が共に心を合わせ祈ることを呼び掛けている。
オープン・ドアーズでは北朝鮮独裁政権下におかれ苦しんでいる人々の様子を説明する教育資料も同サイト上で配布しており、世界のキリスト教徒が他者とともに学びの時を持つことを勧めている。
ディクストラ氏は「キリスト教徒が共に北朝鮮のために祈ることで北朝鮮国内で祝われる『太陽(Sun)の日』がいずれ『イエスという息子(Son)の日』として祝われるようになることを願っています」と述べている。
北朝鮮のキリスト教徒のためにひとつになって祈るために、米オープン・ドアーズではサイト上からさまざまな資料を提供している。23日から29日に行われる北朝鮮自由週間でも継続的に共に祈ることが勧められている(北朝鮮自由週間への参加、情報受け取りはこちら(英語))。
米オープン・ドアーズCEOのカール・モエラー博士は「北朝鮮の教会は世界諸教会の人々が長年にわたって祈りを捧げていることにいつも感謝の意を伝えてこられています。北朝鮮のキリスト教徒は祈り続ける限り神が状況を変えて下さることを信じています。私たちが共に北朝鮮のキリスト教徒のために祈ることで、彼らが決して孤立しているわけではないことを伝える大きな励ましになっています」と述べている。
ディクストラ氏は「良い知らせとしては、そのような環境下にあっても福音が北朝鮮国内で伝えられ続けているということです。地下教会という隠された場所での活動を余儀なくされていますが、北朝鮮のキリスト教徒は物質的な糧が乏しい中にあって本当に霊的な糧を求めようとする情熱を持って信仰の道を歩んでいます」と伝えている。