祈祷会では各支援団体代表者からの活動報告が行われた後、被災地のシーサイド・バイブル・チャペル(宮城県仙台市)牧師の内藤智裕氏による特別講演が行われた。
仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク東北HELPの三枝千洋氏は活動報告で、長期間にわたる被災教会との関係を築くプロジェクトである「姉妹教会プロジェクト」の概要を紹介した。
三枝氏は「皆さまの祈りと支援活動に深く感謝いたします。そして皆さまの支援を導いて下さった主に感謝し御名を賛美いたします。仙台の避難所は解散し、すべての人が仮設施設に入り、もう大丈夫とニュースでは流れていますが、それは仙台だけのことです。未だ避難所での生活が続いている場所が残っています。まだ内陸地の避難所では、食事をとれるのは一日一回だけという人たちもいらっしゃいます。マスメディアは忘れさせようとしているようにも見えますが、被災地から来た人間として(被災地の現状を)『忘れないでください』と皆さんにお願いしたいと思います」と述べた。
その上で、「これから先必要になってくるのは(支援教会と被災教会の)一時的な関係ではなく、顔と顔を見合わせた関係であり、ずっと続く長期的な関係です。ひとつの教会、教団が被災地のひとつの教会に人を送り、交流をもつ、祈りを捧げるということです。被災地の教団が自分たちが忘れ去られていない、祈られているとそのことを覚え、勇気を与えられるためにも今回のプロジェクトが立ち上げられました。ぜひこのプロジェクトに参加していただきたいと願っております」と一致祈祷会に参加した教会関係者に呼びかけた。
姉妹教会プロジェクトでは、東北HELPが活動を通して数多くの被災教会を訪問して姉妹教会関係を築きたいと願っている教会・牧師と出会ってた中で、今後姉妹教会関係を結んで行く上で、神学的な行き違いで互いの教会が傷つくことを未然に防ぐために、あらかじめ各教会の独自性を知らせてきた。この情報を活かして、被災地の教会と姉妹教会の関係を築きたい教会に対する「お見合い結婚の仲人役」の役割を東北HELPが果たしていくという。
三枝氏は「どうか(被災地の教会を)忘れないでください。それが願いです。先は長いです。支える側、支える側ではなく、共に祈りあうパートナーとしての関係を築いていけたらと思います」と呼びかけた。
一致祈祷会で特別賛美を行った海外で震災のチャリティコンサートを行ってきたばかりの小坂忠氏は、「海外にいる日本の方には震災の情報がなかなか入って来なくなって心配しています。もう5カ月の今となっては、(震災以外の)他のところに関心が広がって、震災の事が取り上げられる機会が少なくなってきているという中で、母国のことが気になって知りたいと思う人がたくさんいます。(チャリティコンサートでは)そのような人たちがたくさん、クリスチャンではない方も関心をもってたくさん集まってくださいました。離れていても愛する母国の被災地を忘れないという体験を新たにすることができました」と述べた。
ゴスペルシンガーであり千葉秋津福音教会牧師でもある小坂氏は「震災があったその月に、2週間が経過して初めて被災地に入って、被災地のすごい状況をこの目で見ました。そして石巻市の高台に登って膝まづいて祈りました。『神様、何でこんなことが起こるのですか』と。そんな思いで膝まづいて祈っていたのですが、神様のなさるすべてのことの中に何の意味もないという事はきっとないと思いました。そしてこの民のためにできることは何だろうかと祈り始めました。今は自分にできることを積極的に進めています。私は被災地に食糧を持っていくことも、片付けをする要員になることも難しいですが、魂を癒す音楽を届けたいと思うようになりました。
被災地に近いほど関心が高くて離れれば離れるほど関心が薄くなっていくと言うのが現状です。だからこそ被災地に行って、被災地のためにコンサートを行って、もう一度私達が『忘れない』ということを確認し合う働きをしています。被災地の人たちを忘れないという思いで継続して行って行けたらと思っています」と述べた。
小坂氏は被災地で板きれに「私はこの地のリバイバルを信じます」「この地に特別な希望をもっています。私はこの地を愛します」と書かれてあるのを見て、それが心に強く残ったという。
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