5日に開催されたインドネシア北スラウェシ州州都マナドで開催された第二回グローバルクリスチャンフォーラム(GCF)の全体セッションにおいて、米ボストン大学神学部教授で、「キリスト教重心南方移動論」を提起した主要な学者として知られるダナ・ロバート氏は「世界的な信仰としてのキリスト教共同体のストーリーが今私たちの目前で書かれようとしています」と述べた。
ダナ氏は、「礎石としてのキリストにある信仰は、キリストに従う全ての人々がひとつの民であると考えることを要求しています。キリスト共同体はこの2000年の歴史の中でもっとも大きな統計的・文化的シフトを迎える時に差し掛かっています」と同フォーラムに参加した300人の世界キリスト教指導者たちに対して伝えた。
イエス・キリスト生誕後2000年が経過した今日の世界では、世界中にキリスト教が広まり、信じる者たちの中に驚くべき多様性が生じるようになった。今日の宣教において、キリスト教が世界中に伝わっていくためには一致した宣教が要求されていることが同氏によって指摘された。
ダナ氏は「現代キリスト教徒は多様な目的のための宣教に焦点を当てていかなければなりません。ある教会では伝統を回復させる必要もあるでしょうし、伝統から回復させられなければならない状況の教会もあるでしょう」と述べた。
GCFでは世界的に聖公会、ユナイテッド・メソジストおよび長老教会という伝統的主流派教会における信徒数の減少が緊急課題となっており、宣教や証について、現代のグローバル市場に適合すべく改革していくための相互の対話がますます必要となっているという。同時に初代キリスト共同体の回復を証する新たなミニストリーが活躍していることが、古くから存在する主流派伝統教会にとって挑戦となっていることも指摘された。
ダナ氏はキリスト教諸教会の一致のために必要なことは、「自己満足に浸っているプロテスタント指導者がたくさんの証を受けることによって組織的一致を促進できるというような1950年代の必要と同様ではありません。今日の世界のキリスト共同体が成長できるためにも、宣教される土地だけではなく全体としてのキリスト教の一致について真剣に検討されなければなりません。しかし証なくしての一致は活動を停滞させ、抑圧的なものとさせてしまいます。しかし一致なき証はキリスト教諸教会諸教派による飽くなき競争へと追い立ててしまいます」と指摘した。
世界キリスト教共同体は神学的確信がその中核になければならないという。諸教会がひとつであろうとする献身的な取り組みは、この一つの世界に対する現実的な問題に実際に懸念を示しており、神の民がそれぞれ関係し合っていることをよく理解していることを示すものとなるという。
アジア福音同盟(AEA)議長のキム・サンボク氏は、今日のキリスト共同体が直面する大きな挑戦があることについて「キリスト共同体はもはや『白人の宗教』ではなく、クリスチャンは世界中どこにでも存在していることを意味する証拠といえるでしょう」と述べた。
キム氏は今日の世界において世界人口全体のうち32.39パーセントがキリスト教徒であり、22.90パーセントがイスラム教徒となっていることを伝えた。しかしながら、信徒数の増加率はイスラム教がキリスト教を上回っているという。その原因の一部としてイスラム教国における人口増加率がキリスト教国よりも高いことが挙げられるという。
キム氏は北半球の先進国においてキリスト教徒の信徒数は全体的に減少してきているものの、アフリカ、ラテンアメリカおよびアジアにおいて福音派、ペンテコステ派の共同体が成長していることを指摘した。また同氏は、第2次世界大戦後の福音宣教がグローバル宣教で「驚くべき成功」となり、それに続く成長として世界中の土着民族共同体の中で福音運動が生じるようになっていったことを指摘し、「1960年の福音主義キリスト教徒の人口は8,900万人でしたが、2010年には5億4,600人となっています」と戦後の世界キリスト教宣教の発展を改めて称賛した。
一方でロシア正教会のような多くの伝統的諸教会では信徒に対し「再度福音を伝える」ことが第一の課題となっているという。キム氏はこれらの諸教会について、「1990年代に行われていたような(ノンクリスチャンの)改宗に焦点を合わせる宣教の仕方ではなく、名前だけの信徒に再度福音とは何かを伝えることにより集中していかなければならないのではないでしょうか」と指摘した。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
東京で初の「赤ちゃんポスト」「内密出産」 賛育会病院が開始、国内2例目
-
ミャンマー地震、ハンガーゼロが募金開始 教会にも被害
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
世界バプテスト連盟、トランプ米政権による対外援助の大幅削減受け緊急の呼びかけ
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
シリア語の世界(20)名詞1・ヨハネ黙示録の賛美歌3―5章12、13節― 川口一彦
-
ヨハネ書簡集を読む(13)「巡回宣教者をもてなしなさい」―愛と真理によって― 臼田宣弘
-
第3回臨床牧会教育(CPE)参加者募集 オリブ山病院で6月30日〜7月11日 「信仰の実践としての医療におけるスピリチュアルケア」
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(220)聖書と考える「Live News イット!」
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
ミャンマー地震、国内のキリスト教NGOが緊急募金開始
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
シリア語の世界(20)名詞1・ヨハネ黙示録の賛美歌3―5章12、13節― 川口一彦
-
聖書の売り上げが5年間で87%増加、英国 Z世代がけん引か
-
第3回臨床牧会教育(CPE)参加者募集 オリブ山病院で6月30日〜7月11日 「信仰の実践としての医療におけるスピリチュアルケア」
-
人生を変えることができるのは誰? 菅野直基
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
聖書のイエス(6)「わたしはさばきのためにこの世に来ました」 さとうまさこ
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
ミャンマー地震、国内のキリスト教NGOが緊急募金開始
-
シリア語の世界(20)名詞1・ヨハネ黙示録の賛美歌3―5章12、13節― 川口一彦
-
聖書のイエス(6)「わたしはさばきのためにこの世に来ました」 さとうまさこ
-
東京で初の「赤ちゃんポスト」「内密出産」 賛育会病院が開始、国内2例目
-
世界バプテスト連盟、トランプ米政権による対外援助の大幅削減受け緊急の呼びかけ
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
主にある救いと教会のイメージを持って歩もう 万代栄嗣
-
東京地裁、旧統一協会に解散命令 協会側は即時抗告の意向