【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の承認なしに、司教叙階を進めるなど、中国政府の強硬姿勢が目立つ。バチカン系「アジア・ニュース」のベルナルド・セルヴェッレラ編集長によると、それは強さと弱さの双方を反映したものだと言う。
経済大国の一角を占めた中国にとって、もはや西側の支持を開拓する必要はなくなった。「2008年の北京五輪前には中国は、国際的に尊敬されるためにバチカンの承認を必要としていた。しかし今ではその必要がない」と同編集長。
発言力が増したにも関わらず、北京政府は市民の間の不満への懸念を強めている。急速な経済成長と共に、中国は不平等、腐敗、環境破壊などと格闘してきた。そのことが、政権をして、カトリック教会を含め、組織的抵抗の潜在的可能性を排除しなければならないと決意させている。
中国の指導者は、1980年代のポーランドの事態を中国の指導者は強烈に意識している。当時は教皇ヨハネ・パウロ2世が労働者の「連帯」運動を支持、共産党政権の倒壊とソ連圏解体につながった。こう指摘するのはポルトガルのカトリック大学国際関係専門のラクエル・ヴァズピント教授。
昨年、ノーベル平和賞が中国の亡命民主活動家・劉暁波に授与されたのも北京にとっては衝撃で、その結果が、毛沢東の文化大革命以来という強烈な公式プロパガンダを進めることになった、と言う。
香港の陳日君枢機卿が北京政府を厳しく批判しているが、同氏が中国問題に関する教皇アドバイザーであることからすると、「教皇に支持されていると思う」からこその発言だ、とヴァズピント教授は指摘する。