平和構築について、教会の宣教やイエスの証人としての取り組みの一環として、どのような枠組みで捉えるべきかが国際エキュメニカル平和会議(IEPC)のワークショップで議論された。ワークショップでは、構造的な罪や、社会の一新のための解放運動、平和と正義の在り方を分析する際の解放の神学と文脈化神学の要素について再確認が行われた。
教会史において、神の名によって暴力を正当化し、剣を振りかざすような出来事が何度も存在し、ノンクリスチャンがキリスト教を見るときも、そのような暴力的な教会史が信仰に至る妨げとなっているという声も聞かれてきた。
神の名による暴力を正当化するのも、黙認するのもすべての行いが教会神学・宣教のありかたにかかっている。教会が平和構築者としての役割をなすためのアプローチの在り方について議論がなされた。
メノナイト教会牧師のトーマス・フィンガー博士は、この問題がIEPCで論じるべき焦点であると指摘した。世界教会協議会(WCC)は、各国政府・企業・社会に対して教会としての一つの声を発していくことを使命としているが、具体的に各国の政府に対してどのように具体的にアプローチを取っていくかは、それぞれの国の諸教会で試行錯誤がなされている。
フィンガー博士によるワークショップのタイトルは「平和:キリスト教神学と宣教の再考のための視点」で、フィンガー博士による平和・正義・救い・罪およびイエスの宣教に関する見方が説明された。
ワークショップでは伝統的な教会神学の前提について確認し、その後「罪は個人的な神様の律法を破ることだけではなく、神様の視点・平和と正義の視点を失い、そこから離れていく組織としての行いにも適用される」ことが取り上げられた。
ワークショップの議論で強く取り上げられたひとつの仮定は、暴力が罪の神学的コンセプトの中核を成すということであった。フィンガー博士は「死に至る過程が暴力であるとすれば、いのちに至る過程は暴力ではありえない」と述べた。
キリスト教神学への補完的なアプローチを提案することで、諸教会や信徒らがイエスの御言葉の核心である平和に基づいた信仰の証しに焦点を当てるのに役立つことになる。平和という視点を通して神学は「私たちの基本的な状態を点検し、記述を明確化する」以上のものになり得るという同意に達した。
人々は、人生は葛藤の連続であると感じている。しかし信仰によって人生を変化させることができる。私たちの信仰やイエスの使徒としての意識の強さを通じて、現状の平和のための手段として用いられる暴力の論理を覆すことも可能である。フィンガー博士は「イエスの復活そのものが、暴力の論理と覆し、イエスを死に追いやった人々の考え方を非難するものである」と述べた。また復活の主を通して、共に生活するクリスチャンとして完全な平和のモデルを成すため、およびあらゆる神学的な熟考を行うにおいて、三位一体の考えが主要な役割を成すことが改めて確認された。
フィンガー博士は38歳のときにメノナイト教会に所属し、それ以来教会の平和に対する幅広いアプローチの仕方に貢献してきた。教会史および世界宗教学の教授であり、研究手法の一環として解放の神学と伝統的なキリスト教神学双方の関係を模索している。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』
-
全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演
-
約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド
-
「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕
-
「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ
-
篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(250)聖書と考える「推しの殺人」
-
サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(31)夢の中での再会
-
ワールドミッションレポート(10月25日):アイルランド ホームレスからセレブへ 若き成功者ゲッドの回心(1)
-
キリストの心と思いが与えられている恵み(6)恐れずに主の導きに従う 加治太郎
-
ワールドミッションレポート(10月28日):アイルランド ホームレスからセレブへ 若き成功者ゲッドの回心(3)
-
【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』
-
「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕
-
全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演
-
やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明
-
約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド
-
「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ
-
日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害
-
神の前に高ぶらないで生きよう 菅野直基
-
私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣
-
聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に
-
やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明
-
「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
-
米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ
-
「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版
-
日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議
-
聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に
-
英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認
-
「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ
-
中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明
-
イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される
















