欲望、権力欲、経済の諸問題など多くの問題を抱えた21世紀の米国は、もし米諸教会が人々を正しい方向へ導くことができなければ、米国発の反キリスト精神を生み出し、21世紀の世界を反キリストに導いてしまいかねない―インド生まれの米クリスチャン学者が警告を与えている。
キング・ジェームズ・バイブル発刊400年を記念してキング・ジェームズ・バイブル・EXPO2011が2-3日にかけて米首都ワシントンD.C.のジョージワシントン大学で開催された。
インド生まれの社会改革者・政治コラムニスト・13冊の書籍の著者であるヴィシャル・マンガルワディ氏(哲学修士・名誉法学博士)はEXPOの一環としてなされた講演において、「もし米国が聖書を文化的基盤に置くように再び戻らず、議会や各大学で聖書的価値観が反映できずにいれば、21世紀はアメリカ発の反キリストの時代となってしまうだろう」と警告した。
マンガルワディ氏は20世紀の反キリストはドイツという世界で初めてのプロテスタントによる国家から生じたことを指摘した。ドイツはプロテスタント国家として建国されたものの、その後ナチ思想に傾倒し、反キリスト的ふるまいを起こして世界に影響を与えた。
同氏は米クリスチャンポスト紙に対し、講演の後「反キリスト」という用語の意味合いについて説明した。同氏は大部分の米牧師・神学者とは異なった枠組みで「反キリスト」という用語を用いたという。マンガルワディ氏はインド生まれの学者であるが、現在は米カリフォルニア州に居住している。
同氏によると「『反キリスト』と言う言葉は米国における終末論神学の結果発明された言葉として使用されがちです。私は『反キリスト』という言葉をまさに新約聖書に書かれたある通りの意味合いで用いました。これは米終末論者の使う『反キリスト』の意味合いとは異なります」と述べている。
マンガルワディ氏は米国で21世紀反キリストを誘発した際のシナリオを説明した。もし米国が第2景気後退期に直面し、失業率が25パーセントを上回るようになれば、米政府はこれ以上失業保険を供給することができなくなり、そのことが誘発して反キリストが生じるステージを作り上げてしまうという。20世紀ドイツで独裁者ヒトラーと言う反キリスト者が生じた際も、自国が景気後退に直面する米国と同じような環境に見舞われていた。
マンガルワディ氏はCPに対し、「現在の米失業者の生活環境はとてもぼんやりとしている状態です。失業者たちは政府から当面の生活費をもらって、テレビの前でビールを片手に『セックス・アンド・ザ・シティ』を日常的に見入っているような状態にあります。このような生活をしている人たちに、突然政府からの生活費供給が途絶えたら、何が起こるでしょうか?エジプトやシリア、イエメンの路上にいる人々と同じような状態になってしまうでしょう。そのようになってしまえば、彼らは窃盗やバスを破損させたりするような暴徒と化してしまい、もはや経済学者たちの定義するような『失業者』の意味合いを超えた存在となってしまいます。このような将来の米国のシナリオが考えられ得るのです」と警告した。
マンガルワディ氏によると、米ハリウッドの3D映画として近年話題となった「アバター(ジェームズ・キャメロン監督)」の内容が実にアメリカの将来に対する懸念を良く物語っているという。
大ヒット作となった本作品は、米政府が同国の軍事力を濫用することで欲望を満たしている様が比ゆ的に描かれているといわれている。「アバター」はパンドラの世界における米国内で見られる欲望・偶像崇拝・不正行為の生存者による奮闘が描かれていると見て捉えることができるという。
マンガルワディ氏は「キャメロン監督は欲望に誘発されたテクノロジーに優れた資本主義社会を描いています。そこにはとても危険な人類の欲望と権力欲を取り締まる法律が存在しないため、規制をかけるいかなるモデルも存在しない状態となっています。聖書なしのアメリカは非常に危険な国であるといえるでしょう。神の権勢の下にあってこそ義があるという枠組みから外れてしまうと、義の戦争という論理が消え去ってしまいます」と警告した。
マンガルワディ氏は「あなたの世界を作る本」の著者で、聖書がどのように西欧民主主義の精神を形成し、さらに「良き言葉」を除き欲望だけが突っ走った結果米ウォール街の金銭崇拝を生み出したかを論述している。
同氏は「つまり映画では世俗化が資本主義にどのような恐ろしい影響を与えたかを物語っています。聖書では『貪るな』と教えていますが、世俗化が資本主義影響を与えることで『貪る』文化と化してしまいました」と述べた。
聖書の西欧民主主義と米国文化へもたらした影響について、同氏はまず米国独立宣言の宣言文が聖書の御言葉を反映したものであることを強調し、「いのち、自由、幸福の追求」-このようなものは聖書なしには決して自明のものとは成りえないと警告、「あらゆる文化においてそのようなものは自明のものではなく、またビンラディン容疑者が罪なき人々を殺害するべきではないということさえも、自明の論理とはなり得ない。カダフィ政権にしても、フセイン政権にしても同じです。シリア、イエメン、サウジアラビアの大統領たちの人権に対する認識についても、自明のものはありません。彼らの思考の中には米牧師や米メディアによる文化は馬鹿げたものであるという考えがあります」と述べた。
マンガルワディ氏は諸教会・キリスト教大学指導者・教育者、家庭教会で教育する両親らに対し、次世代を担う若者たちがキリスト教的な世界観をしっかりと持つように、欲望と権力欲にまみれた世俗的な価値観に誘惑されないようにしっかりと導くことが大切だと警告を与え、「米国は教会がまず先に神様の御言葉を受け入れ伝える場所としてしっかりと機能しない限り、21世紀の反キリストが出現する国と化してしまいます。神様の御言葉こそ司法の場・権力者・軍事を行う場所においてそれらの上にあって権威を発揮するものであることが伝わらなければなりません。さらに地球上すべての創造物・すべての文化の上に君臨する権威が神様にあるべきです」と述べた。
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