日本の説教と説教学の権威、加藤常昭牧師(日本基督教団代田教会)が4日、財団法人日本聖書協会主催「国際聖書フォーラム2006」で講演し、教派の枠を超えておよそ300人が受講した。
加藤師は、説教とは、何か神学的な参考文献や、原文に書かれたギリシア語の解釈を必死になって調べて準備するものでなく、何よりも説教者が、聖書の深い黙想によって神と対話し、そこで聴いた神のことばをもって聖書を解きほぐすものであると語った。
重要なことは、聖書の深い黙想である。加藤師は、「神学者は聖書のことばはよく知っている。しかし、そのために聖書のことばを一度しか読まない」と問題を指摘し、「聖書を繰り返し、何度も読むこと」、特に「声を出して」読むことを強調した。
声を出して読むことには大きなメリットがある。加藤師は、声を出して聖書を読むことで、「聖書の言葉が立ち上がってくる」「私を揺さぶり、深く語りかけてくる」と表現した。声に出して聖書を読んだという体験が、「(説教の)基礎となる」と加藤師は語った。
また加藤師は、説教とは、「今、生きておられる」イエス・キリストを紹介することであり、「(聴く者の)いのちそのものに触れること」「イエス・キリストの中で新しく生きてよみがえったという出来事の中に(聴く者を)引き込む」ことであると説いた。
加藤師は、繰り返し、人を救う力を持った説教をすること、人のことばでなく神のことばを聴く説教をすることを強調した。