横浜YWCAが1994年の創立110周年記念事業でタイ・バンコクYWCAと協力して行っている子ども保護プログラムの「プロテクア・ア・チャイルド」。そのプログラムができた背景に、タイの多くの子どもたちの悲痛な叫びがあった。
世界最大ともいわれる性産業国タイで北部を中心に人身売買ブローカーたちは経済的に貧困している人々に近寄り、親たちはわずかばかりの金銭と引き換えに自分たちの娘を売ってしまう。売られた少女たちは自由を奪われ、自尊心を傷つけられアルコールや麻薬に溺れ、HIVに感染するケースが後を絶たない。
少女たちの一生が奪われることのないようにタイ・バンコクYWCAでこのような状況を改善しようと同プロジェクトをスタートした。YWCAパヤオセンターでは、人身売買の危機にある子ども、事情により就学が困難な子どもたちに対して、自分自身を大切に考えることを教え、職業選択のチャンスを与え、自立した人生を送れるように支援している。また、子どもたちだけではなく、その家族や地域の人々の生活向上や経済自立にむけた取り組みも同時に行われている。
横浜YWCAもタイ・バンコクYWCAと協力して、子どもたちの生活棟や職業訓練センターなどの施設建設、縫製指導のボランティア派遣、高校生や大学生の交流など、様々な活動を行っている。また、横浜YWCAは親をエイズでなくした子どもたちのためのエイズ孤児センター「ハッピーホーム」の建設と保護プロジェクトも同時に行っている。
横浜YWCAでは、様々な方法での子どもサポートを呼びかけている。サポートとして毎年、日本の若者を対象にした「ボランティアinタイ」を催し、ボランティアワークや子どもたちとの交流、タイでの交流を経験した人々によるボランティアグループ「プアン」による子どもたちの奨学金集めなどがある。また、タイの施設で子ども達が制作してたクラフト製品などをYMCAのバザーで販売して子どもたちの自立を支援している。
様々な理由で学業への道を閉ざされていた子どもたちだったが、同プロジェクトによって自分たちの人生に価値を見いだしているという。