各国で翻訳され、世界中の人々に愛されている『夢が破れた時、約束は成就した』(アイシーメディックス発行、原題『Broken Dreams. Fulfilled Promises』)の著者、キャロリン・ロスさんが10日、ウェスレアンホーリネス淀橋教会(東京・新宿区)で講演した。同書の邦訳発売記念として開かれたこの講演会でロスさんは、クリスチャンとしての自身の数奇な体験について語り、「神様は祈り求める人の願いを必ず聞き、その人を決して見捨てず、最後には本当の祝福を与える方」と証しをした。
ロスさんは、オランダ、アムステルダム在住の米国人。YWAM(ユース・ウィズ・ア・ミッション)のリーダーシップ訓練スタッフ、クロスローズ・インターナショナル・チャーチ(アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団)の長老として奉仕をしている。今回発売された著書は、すでに英語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、ドイツ語、中国語、チェコ語に翻訳され、日本語版が先月発行された。
ロスさんは1952年、宣教師の両親に連れられ、生後9ヶ月で来日。東京、名古屋、神戸に住み、神戸のカナディアン・アカデミーを69年卒業。その後、欧州の聖書学校でオランダ人の夫、ヨハンさんと出会った。二人は73年に神戸で結婚。3人の子どもが与えられた。
しかし、2人の間に生まれた第一子は、生後まもなく重い難病にかかってしまう。ある日、子の皮膚に斑点を見つけて心配をしたロスさんが、その子を病院に連れて検査を受けると、血液中の血小板が通常数値の10分の1程度しかなかった。このままでは出血が止まらず、最悪の場合死に至る恐れもあり、危険な状態だった。
ロスさんはある夜、何かに促されるのを感じ、夫と2人で必死に神様に祈った。「どうぞ、この子を助けてください!」―――2人の嘆きは神様に届いた。驚くことに2日後、体の斑点はすっかりなくなり、子どもは完全に癒されていた。
ロスさんはその後、さらに大きな試練を経験する。ある朝、朝食をとる夫が片目をつむったままでいることに気づき、2人は病院に急いだ。検査の結果、なんと脳に大きな腫瘍が見つかり、それが神経を圧迫しているとのことだった。大手術のすえ夫は一命を取り留めたものの、すべての記憶を失い、妻であるロスさんや子どもの名前すら忘れていた。4人目の子どもの出産を間近に控えていたロスさんは、形容できないほど深い絶望の中で、ただひたすら神様に助けを求め続けた。
「夢が破れ、まったくの絶望の中で、神様の約束は成就しました」―ロスさんの叫びは再び神様に届いた。神様は、ロスさんがもっとも困難なときに与えられた4人目の子どもを通して、夫にすべての記憶を取り戻させたのだった。
講演の中でロスさんは、「祈り続けなさい」「神様は必ず聞いてくださる」「神様に信頼する者を、神様は決してお見捨てにならない」と講演を聴く人々に繰り返し語りかけた。