学校法人日本ルーテル学院(東京都三鷹市)が同学院の神学生向けの学生寮「ルターホール」を改修する。着工は07年8月で、完成は08年の3月を予定している。
ルーテル学院は1969年に東京都中野区鷺宮 (さぎのみや) から三鷹市の三鷹キャンパスに移転。その後、臨床心理学や社会福祉学などの新たな学科が設置され、学生寮に入る学生数も次第に増えていった。
今回改修が行われるのはルターホールの3階と4階の一部。神学生たちが朝夕に神と出会い自己を見つめ、魂の安らぎと成長を得られるようにと、朝夕の共同の礼拝の場、また祈りの場としての小チャペルを設ける予定だ。
ルーテル市ヶ谷教会の渡辺純幸師によると、これまでの寮は祈りのスペースが小さく生活面でも個人がばらばらになりがちで、ただのアパートのように過ごす学生が多かったという。
募金委員長を務める日本福音ルーテル教会総会議長の山之内正俊師(同東京教会)は、「共同で生活するという意識が必要です。皆で一緒に礼拝をささげる場がなかった設備面を改善して、牧師になるための訓練を、生活を通して行いたいと考えています」とし、同ホール改修による神学生の生活改善に期待を寄せた。
これまで各個人に任せていた食事も、神学生が食卓の交わりを通して「共同意識」を持つようにと、小チャペルに隣接させて食堂を新たに設置。また、教室を離れたところでも寮生活全般に対して神学生一人ひとりの状態に応じたケアができるようにと、教員や牧師との語らいの場 (SA室) も設けた。
着工は07年8月で、完成は08年の3月を予定している。渡辺師は、「昔の先輩たちが築いてきたものの上に学生たちは立っています。今度は自分たちが後輩たちのためにやることがあります」と話し、神学生一人ひとりが仕える心をもって、同学院の新しい未来を自ら拓いていくことを願った。
寮での生活について山之内師は「ただ学問的に授業の中だけで学ぶのではなく、『私は神さまに召されて教師となる』という召命感からでもない。霊性を深めていく神学教育のひとつとして生活の中からも学んでほしい」と語った。
日本ルーテル神学校校長の江藤直純師は「牧師養成には知的な成長のために、それ相応の教育と訓練が必要です。教理、倫理、キリスト教の歴史など、学問として多くの勉強が必要です。なにより大切なのは牧師になるものの霊性を高めること。知的な成長に合わせて、霊的成長への願いが実現すると信じます」と語った。
今回のチャリティー・コンサートが神学生寮設置のための運動の始まりとなった。これから改修費用のために2年間、全国にある同教団の教会などを巡り、各地での講演会を通して信徒らに協力を求めていく。
「個々人の意識を高めることだけではなく、共同体としての絆を深めることも必要。一人ひとりでいるが、教会共同体、全体としてひとつになること。そのための担い手を養育していきます」と江藤師は語った。
同学院は24日、「ルターホール改修のためのチャリティー・コンサート」を東京・新宿区のルーテル市ヶ谷センターで開催した。演奏会にはあいにくの雨にもかかわらず定員を超える200人以上が訪れ、関係者に励ましの声をかけていた。事前販売したチケットは300枚近く売れたという。 江藤師は「神さまへの期待の表れだと思います」と、同学院に注がれる神の祝福を謙遜な面持ちで受け取り、来場する多くの人々に「ひたすら感謝、感謝、感謝です」と心からの喜びを伝えた。