物資を届けるため赤井地区の各家庭を訪問したところ、同地域のライフラインは徐々に回復へと向かっていたという。被災地の必要物資が調味料や清掃用具などにシフトしていたが、それでも現地の人からは「県外のナンバーの車を見るだけで涙が出ます」と支援に対する熱い感謝の意を示していたという。
赤井地区での清掃作業がひと段落した後、隣の矢本町にある避難所を訪問しとん汁の炊き出しを行った。子どもたちにはお菓子を届けることもできたという。現地の人々は支援に大きな喜びの表情を見せるものの、長引く避難所生活によって病気やストレスに苦しんでいる姿も見られるという。東京キリスト教学園は今後も学園ボランティアチームを継続して派遣し、地域のニーズに応えていく予定であるという。
クラッシュ・ジャパン代表のジョナサン・ウィルソン氏は被災地での支援活動について「どの団体がより早く、効率的に支援を行うことができるかを競っているわけではありません。被災地で支援を行うすべての人々は苦しむ人々とともに重荷を共有しています。私たちのビジョンはクリスチャンのボランティアを安全かつ効率的に稼働させていくことです。日常活動の最中にあって大きな絵を見上げることは難しいでしょう。私たちがすべてのことを成し遂げる必要はありません」と述べている。クラッシュでは長期支援を通してクリスチャンと現地の人々の間に心の絆ができることを目指している。
苦しみの中にある人々を共に助け、キリストの重荷を共有することで、被災地支援を通しバラバラになっていたキリストの体がひとつになるような思いがけない効果が得られてきている。クラッシュではこの3週間で国内外50のミニストリー、宗派、宣教団体らと提携関係を構築してきたという。子どもたちの遊び場としてチャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)「ぜんいんしゅうごう!」を4日から開催したワールドビジョンも、子ども支援を行っている団体のネットワーク会合に参加し、他キリスト教団体やNGO団体と協力して子ども支援事業を行っていくことを検討しているという。
ワールドビジョンCFS担当の山野さんは「地元地域の方に参加していただくことを大切にするようにしています。被災した子どもたちを、地元地域の方々が支援していくことで、一過性で終わらないつながりや、心のふれあいができるきっかけの場となるように、働きかけています」と述べている。キリスト教諸団体・NGOのみならず、地域の人々も広範なネットワークによる活動の中に取り込まれ、心のつながりができていくことが期待されている。
災害支援援助隊を派遣しているアガペCGNの開設する災害支援サイトでは、被災者のためのとりなしの祈りを分かち合う掲示板が設けられている。同掲示板では、「今回の地震災害で、この世はいつ何が起こるか分からない世界だから、神様を知らないでこの世を去る前に、多くの日本人に永遠の神様、救い主イエス様を知ってほしい。もっと福音を大胆に伝えなければと思わされた。日本のクリスチャン人口は1パーセント。宣教師の墓場、また偶像の国と言われてきた。でも日本人はただ、天地万物を造られ私たちをこようなく愛してやまない神様のことを知らないだけ。日本人がこの神様のことを知らないのは私たちクリスチャンが恐れて大胆に日本人に伝えてこなかったため。今回の大震災で一番悔い改めるべきは福音を伝えて来なかった私自身だと思わされた」とこれまでの日本の福音宣教について悔い改める祈りも見られている。
2週間後にイースターを控えた今、十字架にかかり、苦しみ・痛み・悲しみのすべてを罪のない身に背負われたイエスキリストの重荷を共にし、十字架から復活されすべての人に恵みの扉を開かれたイエスキリストの御業・奇跡を震災支援を通して大胆に伝えられるクリスチャンの姿が期待されている。