【CJC=東京】日本カトリック司教協議会のバチカン訪問団は、「問題」続きの年月だったとして、新求道共同体に今後5年間、活動を中止するよう要請した。
高見三明・長崎大司教が長崎から電話でカトリック通信CNAに12月15日語ったところでは、司教側の提案は共同体のキコ・アルグエリヨ創設者に直接行なったが、受け入れられなかった。
教皇ベネディクト16世は、司教側の計画に満足していないと見られる。ただバチカンも共同体当局者も会談や提案について公式なコメントは出していない。
ローマのレデンプトリス・マーテル神学校副校長のアンゲル・ルイス・ロメロ神父は、CNA通信に、自身も主任の平山高明司教も、現段階で意見を明らかにするのが賢明とは思っていない、と語っている。
ロメロ神父は、日本神学校プログラムに登録している学生は21人。ローマに移籍以来、日本人とイタリア人の2人が司祭に叙階され、現在ローマで活動中と語った。
高松の神学校閉鎖の際、バチカンは共同体が日本で活動を継続する際の管理方法を決定するため司教団と協力する教皇代理を任命した。当時、バチカンは、神学校が将来、「日本の福音化のために最も適当と見られる方向で貢献を続けられるよう」との「信頼」を表明していた。
しかし高見大司教は、問題解決は難しいと見ている。共同体は「長年の間、高松教区で問題を数多く引き起こしてきた」と言う。大司教は、共同体のある司祭との経験や、他の司教からの同様な問題に対する聞き取りで、自分の教区では共同体の宣教を許可しないことに決めたと語った。
共同体の司祭は、現地の司教と東京にいる上長の双方に従属することが、大きな問題だ、と大司教は説明する。「彼らは、活動している教区の司教に従いたいとは言うものの、それを全く実行していない。とにかく十分でも正当な方法でもない」と言う。
問題は、権威に関することだけでなく、行なわれるミサの方法にもある。共同体の司祭は、ミサで日本語を使うが聖歌などは異なる。「彼らは全てキコ創設者の霊性に従うが、それは私たちの文化は心情からは全くかけ離れている」と高見大司教。
さらに、教区司祭が執行するミサを「不完全」として、共同体のメンバーが自分たちのミサを優れたものとして推進しており、これも教区内に分裂をもたらした、と言う。
財務面の問題もある。共同体は財務を教区から独立させており、官庁への収支報告を困難なものにし、また教区の力を削いでもいる。
司教側は、共同体の日本でのあり方に指針を設ける方法を探っている。
高見大司教は、今回の教皇と司教団との会談で何が討議されたか正確に把握してはいないが、「日本の全司教が今回の会談に深い関心を寄せていることは確か」と言う。大司教は、日本の司教が、共同体の日本における将来について教皇の決定に従おうとしていることでは結束していることを強調した。
高見大司教は、キコ創設者に出した提案が、共同体の活動5年間停止と、その期間を「日本における活動を反省するためのもの」とすることと言う。「5年経過した後に、司教側は共同体と問題の議論を始めたい。私たちは、彼らに立ち去って、二度と戻るなと言いたいのでは決してない。望ましい形で活動して欲しい。日本語と特に日本文化を学んでほしいのだ」と語った。