エジプトムバラク大統領政権に対する反政府デモが激化していることを受け、同国の福音主義キリスト教徒らは世界諸教会にエジプト国内で生じている衝突が平和的に解決されるための祈りを求めている。
世界福音同盟(WEA)は、数日間にわたってエジプト福音フェローシップ(EFE)と連絡を取り続けた後、エジプトのための祈りを呼び掛ける緊急声明を発表した。
EFEによると、エジプト中の教会がエジプトのための祈りでひとつになっており、また海外の諸教会にも彼らとともにエジプトのために祈りをささげてほしいと願っているという。
EFEは世界のキリスト者たちに対し、現政府および今後のエジプト政権に神様が知恵を与えてくださるように、首都カイロの中心部であるタハリール広場で反政府デモを行っている若者たちの身の安全(中にはキリスト教徒、イスラム教徒の両方が含まれている)、平和的な解決の道が開かれるように祈りを求めている。
WEAは声明文で「エジプトでどのような変化が生じるかは誰もわかりません。しかしエジプトの福音主義キリスト教徒たちは神様の御手が支配してくださると信じています。エジプト国内の福音主義キリスト教徒は少数派ですが、エジプト国内で良い市民であろうとし、エジプトが将来的に健全な国家として発展していくために積極的な活動をしています。私たちキリスト教徒はエジプトにおいて国家の繁栄のためにほとんどのイスラム教徒とキリスト教徒がひとつになって祈っていると信じています」と述べた。
EFEは全国規模の祈祷ネットワークを構成し、福音主義、コプト教徒、ローマカトリック教徒が一つになって国家の繁栄のために各家庭で祈りを捧げるように促している。
国際連合(UN)は、エジプトの反政府デモによって300人ほどの国民が死亡したものと推計している。
反政府派は、30年間政権を維持し続けてきたムバラク大統領の退陣を求めている。
エジプトで最大の反政府派団体を誇るイスラム教組織「ムスリム・ブラザーフッド」がエジプトの今後の政権を握る動きを強めていることも、同国内ですでに迫害される立場にあるキリスト教徒たちにとっては大きな懸念となっている。
イスラム圏にいるキリスト教徒への実用的支援を中心に活動を展開する英国の慈善団体「バルナバ・ファンド」によると、イスラム教政権下ではキリスト教徒の身の安全はより不確かな状況に置かれるとし、最悪の場合国外に亡命しなければならなくなる懸念もあるとし、「エジプトのキリスト教徒たちはすでに同国で雇用や教育など多くの深刻な差別に直面してきた。ここでもしムスリム・ブラザーフッドが政権を握るようになれば、エジプトのキリスト教徒らはますます激しい迫害に直面することになるだろう」と懸念を表明した。