米福音同盟(NAE)と米カトリック司教協議会(USCCB)は7日、米露間の核兵器軍縮を定める新戦略兵器削減条約(START)について米上院に批准を求める共同声明を発表した。
同条約は今年4月、バラク・オバマ米大統領とドミトリー・メドベージェフ露大統領がプラハで著名し、各国議会の批准により発効となる。今年9月には米上院外交委員会が批准承認を決議したが、年末で期限が切れる「ブッシュ減税」の延長などを巡った与野党の対立で、上院では審議に支障が出ていた。
NAEとUSCCBは、米露二国のみで世界の90パーセント以上の核兵器を保有していることを指摘。条約の批准によって米国の核保有量削減を推し進め、国際社会に対して核の脅威削減に向けたリーダーシップを明確に示せるとしている。
USCBB「国際正義と平和委員会」のハワード・ハバード委員長は声明で、「(新STARTの批准は)他の国々に拡散防止条約(NPT)へ加わることを促すことになる。この新しい条約は、検証可能な方法で核を削減し、米国と世界に安全をもたらすことになる。米国と世界の安全のために、我々は上院が即時、新START批准に向けた審議に取り掛かるよう求める」とした。
両団体は、核兵器廃絶に向けた国際的な取組みを、人類の道義的責任だと位置づけている。
NAEのレイス・アンダーソン会長は、「人類の長く悲惨な戦争の歴史において、核兵器は、人命を無差別に奪い去る力とそれが持つ脅威の大きさによって、特異な地位を占めている」と指摘し、世界の平和構築における核廃絶の重要性を強調した。
上院での新START批准を巡っては、保守的なロービー団体が、批准によって米国がロシアよりも多くの戦力を放棄することになるとして反対運動を展開している。アンダーソン氏はこれに対し、批准によって新たな脅威が生まれることはないと否定。条約履行の検証は米露両政府が相互査察を行うことで確認するため、米国が新たな査察権限を持つことができる点などを強調している。