米カリフォルニア州サンタアナに本部を置くキリスト教の抑圧監視団体「オープン・ドアーズ」が6日(日本時間7日)、キリスト教徒に対する迫害が最も激しい国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」の2010年版を発表し、北朝鮮を8年連続で世界で最も迫害の激しい国に選んだ。
金正日総書記と父親の金日成国家主席(94年死去)への絶対服従を強制し、全ての宗教活動と信仰を法律で禁じている。
オープン・ドアーズによると、聖書を所持していたという理由で市民が公安当局に逮捕・投獄されたことがあるとの報告もある。推定4万人から6万人のキリスト教徒が信仰を理由に刑務所に収監され、労役を課せられているという。
今回のリストでは、前回3位だったイランが2位に浮上した。同国では08年以降、キリスト教徒の逮捕が相次いでおり、これまでに85人が逮捕・拘束されている。最近では、イスラム教からキリスト教に改宗した2人の女性がキリスト教信仰を理由に逮捕されたことが国際的な関心を集めていた。オープン・ドアーズによると、女性は2カ月前に釈放されたが、同団体を始め複数の人権団体が政府に対し、女性を解放するよう働きかけていた。
前回2位だったサウジアラビアは今回3位。順位の下落はイランの状況悪化によるもので、サウジアラビアの現状に変化はないという。
今年新たにリストに加えられたのは8位のモーリタニア。アフリカ大陸北部に位置する同国では昨年9月、キリスト教系団体のスタッフが殺害された。7月にはモーリタニア人のキリスト教徒35人が集団暴行を受ける事件が発生し、8月にはキリスト教徒150人が警察に集団で逮捕されるという事件があった。
上位10位のうち8カ国がイスラム教国。上位50位のうちイスラム教主義国家は35カ国にのぼる。
リストは、宗教の自由に関する53の質問を同団体スタッフとキリスト教会指導者、専門家に答えてもらい、70カ国を対象に行った調査の結果をもとに作成した。