このレポートでも何度かお伝えした、タイ西部のペッチャブーン県チョンデーン中心に継続しているリバイバルが加速しているようだ(詳しくは2022年10月31日「世界宣教祈祷課題」参照)。
これは「イエス・キリストにある自由教会連盟」(FJCCA)に連なる家の教会が中心となっており、昨年の12月1日には、なんと今までで最高となる2399人の洗礼式が合同で行われた。タイの覚醒は目覚ましく、最近3万人以上がキリスト教に改宗した。
宣教師マルテン・ヴィッサーが報告したところによると、この霊的なリバイバルには、統計的に2つの明確なパターンがあるそうだ。その一つは、新規改宗者の大半(70%)が女性であったことだ。
この傾向は、女性は男性よりもキリストを信じる傾向が強い一般的な認識と合致している。タイの女性の霊的な渇きは、地域社会でのキリスト教の普及とそれを受け入れることに対しての重要な役割を果たしている。
これらの改宗者の多くは家の教会に参加している。この家の教会は、新規信者たちが新たに見いだした信仰を支え、成長させるためのコミュニティーを提供している。最近行われたチョンデーンでの2399人にも上る合同洗礼式は、この動きに拍車をかけている。
そして、ヴィッサー宣教師が報告した2つ目の注目すべき点は、新規改宗者の年齢層のうち、60~65歳の層が圧倒的に多かったことだ。ヴィッサーは、この傾向の主な要因を2つ挙げている。
第一に、タイの伝統的な文化では、人生の終盤、つまりこの場合60歳以降の人生では、人は霊的な事柄に集中する時期だと考えられている。この文化的規範が後押しして、高齢者がキリスト教を探求し、それを受け入れる素地を作ることに大きな影響を与えている。
さらにヴィッサーは、タイ人は自国の文化に対する強い自尊心があり、西洋の風潮(多くの場合、それはキリスト教と結び付いている)は、若年層を中心に、彼らを魅了しないと指摘する。これは、西洋のイデオロギーやキリスト教が若い層をより強く魅了しているシンガポールのような国とは正反対だ。
シンガポールでは、西洋のイデオロギーやキリスト教が若い世代をより強く引きつけている。ところがタイでは、年齢を重ねるにつれて、人々の集団思考の影響は薄れ、より個人的な霊性の探求が可能になっている。つまり高齢者は、しがらみに縛られずに改宗する確率が高くなるのである。
タイで起きているこの集団改宗のリバイバルは「宗教的な改宗は若い層が行うものだ」という一般的な見解に疑問を投げかけるものだ。年齢と性別が宗教的信念と実践を形成する上で極めて重要な役割を果たすことを、タイ独特の文化と霊的背景は浮き彫りにしているのである。
通常、リバイバルの時には、若者が中心となって立ち上がるのだが、タイの場合、良い意味でその傾向が裏切られており、高齢者がその一翼を担っている。日本を含め高齢化社会を迎えている国は決して少なくないと思うが、タイのモデルはそのような国々にとって大きな励ましだ。
継続するタイのリバイバルのために、この地の伝道がさらに進むように祈っていただきたい。
■ タイの宗教人口
仏教 85・3%
カトリック 0・5%
プロテスタント 0・6%
イスラム 7・9%
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