アラブ・バプテスト神学校(ABTS)は、レバノンのイスラム教徒とキリスト教徒との関係改善に取り組んでいる。
15年に及ぶ内戦の影響をいまだに引きずっているレバノンでは、人々はしばしば自分たちのグループ以外の人々に不信感を抱いている。ABTSは、地域社会に戻り、混乱の中で平和を築く指導者を養成している。
ABTSの最高学務責任者であるマーティン・アッカド氏はこう説明する。「私たちの役割は、神学的に考える指導者を育成することだけではなく、和解と地域社会の回復という領域において、現実社会に変革の業をもたらすことのできる指導者を育成することだと強く感じています。キリストは、どのような場所であれ、平和を創り出す者となるよう民に呼びかけておられます。平和創造や平和構築は、まず第一に、紛争を問題としてではなく、機会として捉えるのです」
ABTSは、5つの重要なイニシアチブによって積極的に平和を構築しようとしており、そのうちの3つは現在進行中である。
イニシアチブ1:パンと塩
このプログラムでは、同じ地域に住む14〜17歳のキリスト教徒とイスラム教徒の若者を集める。これらの若者は近くに住んでいるが、信仰について対話したことがないかもしれない。ABTSは、彼らが個人的な信条について話し、固定観念を打ち破りながら、より深いレベルでつながるために必要なツールを提供する。
イニシアチブ2:教会/モスク・ネットワーク
このイニシアチブは、教会やモスクに通う人々に、隣人に対する先入観と誤解を解く機会を与える。イスラム教徒とキリスト教徒は互いに話し合うよう招かれ、反対の意見を持つ信仰の礼拝にも出席する。恐れから互いを避けるのではなく、地域社会のために協力することが奨励される。
イニシアチブ3:時事問題フォーラム
ABTSは、レバノン各地のキリスト教指導者を集め、教会が時事問題における平和構築にどのようにもっと関わることができるかについて話し合う。
アッカド氏は世界の教会に、レバノンの教会のための祈りを求めている。「私たちは勇気をもって、何の力も影響力も持たない少数派であるという考え方から抜け出さなければなりません。現状を変え、変容させ、挑戦し、個人と地域社会の両方の心を変えることができる聖霊の力を持つ教会になる必要があるのです」
これは、世界におびただしい信者を擁するアブラハムの一神教の双璧ともいえるイスラムとキリスト教の相互理解と交流を助ける興味深い試みだ。両者の理解に基づく平和構築が豊かに実を結び、福音がイスラム教徒の間で力強く拡大するように祈っていただきたい。
■ レバノンの宗教人口
イスラム 59・0%
プロテスタント 0・6%
カトリック 23・9%
正教関係 7・3%
◇