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夜明け前

夜明け前(7)病者じゃなければ 星野ひかり

2023年3月16日18時21分 コラムニスト : 星野ひかり
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夜明け前(1)世界の出口 星野ひかり+

私は人をうらやむ気持ちに苦しんでいた時間がありました。

それは、自分とは真逆の、生まれ育ちに恵まれた人に対してでありましたし、また私の身近な叔母も、私のうらやむ人の一人であったのです。うらやむと言ったらかわいらしい響きですが、それはねたみとなって、胸を焦がすような痛みともなりました。

叔母は、心も体も強く、頭も良く、てきぱきと何でも器用にこなし、弱音もはかずに働いて、子どもたちも立派に育て上げた人だ、と私の目には映っていました。今では、ずっとあこがれていた自然の中での暮らしをかなえ、たくさんの犬にうさぎさん、やぎや鶏たちと共に暮らし、家族で小さな山を舞台に、自然にまつわることを教えて暮らしています。薪を割って焚き木をし、薪のストーブの燃えるかわいらしい家で暮らしています。

私の両親は家庭内の問題を外に漏らすことを嫌がりましたから、叔母は私の家庭にたくさんの問題や事件があったことを知る由はありませんでした。私の腕には家庭内暴力の中で刻まれて、縫い合わせた18針の傷が残っています。その傷の理由も、私は誰にも話すことはできませんでした。

そしてわが家は、地域でも親族の中でも孤立してゆき、叔母とも長く疎遠でした。しかし、イエス様が再び結び合わせてくださったのです。叔母は4年前に信仰を持ち、私の恩師の教会に熱心に通い、イエス様を心から慕って生きています。

今では私が遊びに行くと、手作りのピザやアップルパイをふるまってくれ、森を歩いて集めたつるや葉っぱや松ぼっくりでそれはかわいいリースの作り方を教えてくれます。また同じ信仰を通しても、とっても頼もしい存在となってくれました。

叔母にもたくさんの苦労はあったことでしょう。しかしそんな苦労を感じさせない強い人のように思っては、あこがれとともにうらやむ気持ちも抱え続けていたのです。

ある日、母が留守にする日に、祖母の介護を叔母と共にする日が与えられました。丸一日祖母の介助をして、夕方には私はくたくたに疲れていました。移乗介助で腰も痛み、祖母が眠ったのでようやくひと段落、私も休もう、と思ったとき、叔母は庭に目をやり、夏に伸び切った雑草で庭が荒れ果てていることに気付いたようでありました。

すると鎌を探し出して腕をまくり、草むしりを始めたのです。その手際は、毎日の山での仕事で鍛え抜かれており、私は目を見張りました。

「ひかりちゃんもやってみる? 気持ちがいいよ!」

叔母は本当に気持ち良さそうに、汗をぬぐって言いました。私はおろおろと後ずさりをして、「私はもうくたくたで、とってもできない」と伝えました。ウッドデッキから身を乗り出して、叔母の草のむしり続ける様を見つめました。名もない草がプチプチと切られる青いにおいに包まれながら「叔母はすごい」と思いました。

その手際と鎌を振るう力強さは、毎日毎日の積み重ねで身に付けられたものでありました。寒い日にも暑い日にも、体が痛んでも自然に向き合い、時には戦ってきた叔母の姿が見えてくるようでありました。

草をかき分け鎌を振るうその強さは、叔母が、叔母に与えられた道のりを懸命に歩き、そして得たものであったのです。そして私は、うらやんでいた思いが尊敬に変わってゆくことを感じました。

草むしりをひと段落させて居間に戻ってきた叔母に、いじけるように言いました。「自分は病気や薬のせいもあり、どうにも疲れやすく、人と同じようにはできない」「もし、わたしが病気じゃなければ、どんな人生だったのだろうか・・・」と。

叔母は目を丸めて言いました。「ひかりちゃんには、ひかりちゃんにしかできないことがあるじゃない。叔母さんには、ひかりちゃんのように物語を書くこともできないし、即興の素敵なピアノを弾くこともできないよ。ひかりちゃんにはひかりちゃんにしかできないことが、あるじゃない!」

その言葉を聞いたときに、肩に背負っていた重いものが降りていった気がしたのです。

私はずっと、叔母に認められたかったのかもしれません。・・・私の肩から、劣等感、悔しさが、すとんと落ちた気がしました。そして代わりに、私が私であることの誇りがのぼってくるようでありました。

「病気があるから今の私がある」「病気は私の誇りである」そう強がっても、「病気がなかったら」と何度想像したことでしょう。しかし私には、神様がパウロにとげを与えられたように、この病が与えられました。

そして神様は「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」(2コリント12:9)とおっしゃるのです。頭では分かっているはずであったけれど、叔母のまなざしがその御言葉と一緒になって、私のうちに流れてきた気がしました。

病ゆえにいろいろな困難もあり、年々できなくなることも増えてゆきます。しかし、その困難や弊害すら、神様は益としてくださるといいます。

「神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています」(ローマ8:28)

病気だから感じられること、病気だから経験できたこともたくさんあり、そして、病気だからできることだってあるはずなのです。また、苦しみや試練こそ、心を鍛え、ふくよかにし、人の痛みも分かるようにしてくださいます。

神様は私たちの人生それぞれに、痛みや苦しみ、苦難をもお与えになります。そこでただふてくされていたら、せっかく与えられた素晴らしい機会を無駄にしてしまうことでしょう。

・・・しかしそんなふうに言いながらも、そんな自分の宣言にキュウキュウと胸が締め付けられたりもするのです。いろいろな牧師先生の説教を聞いても、そんな気持ちになることがあります。

それは確かに、神様を前にした正直な思いですし、牧師先生の説教にしても正しいことばかりです。でも、私はそんなにまっすぐなばかりの者でもないのです。・・・神様以外にだって、手当たり次第に人を頼りたいときもあり、誰かれ構わず泣きついて、慰めを得たいときもあります。自分を傷つけてぼろぼろにしたいという衝動だって、まだまだ根強く残っています。

病気も、過酷な生育環境も、その後のつらい道のりも、自分へ与えられた賜物や贈り物だとはどうにも割り切れないときもあり、自分の中にだけとどめておかなければいけない思いも処理できず、つい汚い言葉が口から飛び出してしまうときもあり・・・親をののしり、責めてしまうことだってありました。

そしてうなだれ、涙がつつと流れるとき、イエス様の十字架から愛が流れてくるのを感じます。イエス様は言うようです。「ぜんぶ分かっているよ」「それでも愛しているよ」

「私だけはイエス様と最後まで共にある」と言いながら、3度もイエス様を「知らない」と言って裏切ったペテロの涙を、私も繰り返し経験し、そしてそれでもペテロをガリラヤに迎えに来て「あなたは私を愛するか」と3度も聞かれたイエス様の愛を、繰り返し経験するようなのです。

イエス様は、自分を愛する者を決してお見捨てにならず、うなだれて、もう神様に顔向けできないとすねたって、何度だって迎えに来られる神様です。そんな神様を、どうして愛さずにいられるでしょうか。

今も、私の好きな夜明け前・・・この夜が明ける、本当の朝を待ち焦がれ、胸を焦がして祈っています。天のラッパが高らかに響き、光の軍勢を従えて、私の主であり、この世界の王であるお方が雲に乗って帰ってこられるこの世界の夜明けを。

イエス様、あなたの王国はどんなに麗しいことでしょうか・・・・どんなに神秘的でかぐわしい香りに満ちていることでしょうか。そこに吹く風は、どんなに柔らかなガーゼよりも優しい手触りで、風がひと吹きするだけで、あなたの愛に包まれる、そんな世界であることでしょう。

枯れた地の、土中に眠る石たちもその本来の力を取り戻し、大地は、主の胸のような力強さにみなぎることでしょう。そして、この枯れた地中で力を失い眠る花や樹木の種たちも、目覚めるように息を吹き返し、力強く枝を伸ばし、葉を茂らせて花を咲かせ、芳しい香りを世界に放つことでしょう・・・。

そんなことを思っては、心は天へと吸い込まれ、果てしない自由を知るようです。主の王国のあまりのまぶしさを思うと、この世は色彩を失うほどです。しかしこの世界の、例えば私の家の玄関前に咲き乱れる黄花コスモスの花びらの一つ一つにだって、神様の心が見て取れるようであるのです。そのお優しさ、愛でできた本当のお知恵が・・・。

まるで天に生きるがごとくにこの世で生きられたら幸いです。今日もそんな一日を過ごせたら、どんなにいいことでしょうか。

私の人生は、死への誘惑にとらわれたものでありました。幼き日には、この世界の唯一の出口として、若き日には、苦しみからの逃れとして・・・。しかし今私は、あなた様がおゆるしになるまで、この命の日を楽しんでみたいと、初めて思い出しているのです。

あなた様が与えてくださったこの体にも、もっと向き合ってみたいです。私のこの体には、あなた様の愛が詰まっています。背骨の一つ一つをまっすぐに組み立てて、深く息を吸い込んで息を吐くと、こわばっていた眉間がほどけてゆきます。心が祈りで満ちていくと、固まっていた筋肉もやわらかくほぐされます。

あなた様が触れてくださるように、自分の頬を包み込むと、じんわりと涙が出てきます。「今まで一生懸命頑張ったね」。あなた様がそう言ってくださるように、私は私を、もっと愛してみたいです。そして人を、世界を、大切にしてみたいです。あなた様がおゆるしになる命の日の限り・・・そうやって生きてみたいです。(つづく)

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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