昨年1年間で中国の地下教会に対する弾圧が急増していたことが、米国に本部を置くキリスト教団体「中国支援協会」(CAA)の調べでわかった。特に昨年オリンピックの開かれた北京での迫害はひどく、昨年1年間に北京で迫害を受けた信者は07年比418%増の539人に上った。
CAAの調べによると、昨年1年間に中国で迫害を受けた信者は全体で07年比157%増の2027人、弾圧を受けた地下教会は23・3%増の74件に達した。「邪教活動」などを理由に逮捕された信者は10・2%増の764人、当局から虐待を受けた信者は71・4%増の60人だった。
特に迫害のひどかった北京市ではオリンピック開催期間中、政府非公認の教会の牧師が滞在先の北京から河北省に強制追放される事件もあった。一部の報道によると、警官がその牧師に対して「五輪期間中、北京に滞在するな」と話したとされており、オリンピック開催期間中に地下教会の牧師と海外要人との情報交換を阻止することが狙いだったと見られている。
公認教会側は、中国のプロテスタント信者を少なくとも1800万人と推測するが、他に多くが「家の教会」と呼ばれる非公認の地下教会に属していると見られる。その正確な数は不明だが、一説では4000万弱のプロテスタント信者が中国にいるのではないかといわれている。また、カトリック信者も公認教会に所属する400万人の他に、約1000万人の信者が地下教会にいるのではないかと見られている。
地下教会の活動は政府からの公認を受けていないために「邪教」とみなされ、当局による取り締まりの対象となってしまう。CAAは、調査の数字は氷山の一角に過ぎず、さらに多くの信者が当局による迫害を受けていると指摘している。