ドイツ福音主義教会(EKD)は10日、オンラインで総会を開催し、ウェストファーレン福音主義教会議長のアネット・クーアシュス氏(58)をEKDの常議員会議長に選出した。女性がEKDの常議員会議長を務めるのは史上2人目。副議長にも女性が選出されたことから、EKDはトップ2が女性となった。欧州のキリスト教メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)が伝えた。
EKDは、ルター派、改革派、合同派の信仰告白を有するドイツ国内の20のプロテスタント教会の連合体。ウェストファーレン福音主義教会はEKDの構成教会の一つで、同国西部のノルトライン・ウェストファーレン州の一部を管轄している。
改革派の牧師であるクーアシュス氏は、2015年から常議員会副議長を務めていた。女性が常議員会議長を務めるのはマルゴート・ケースマン氏(ルター派)に次いでEKD史上2人目。14年から議長を務めてきたハインリヒ・ベドフォードストローム氏(ルター派)の後任となる。
クーアシュス氏は1回目の投票で賛成126票を獲得。反対4票、棄権10票で対立候補はいなかった。今後、ドイツのプロテスタント信者2020万人の代表を務めることになる。当選後には、総会から寄せられた信頼と支援に感謝を表明。これからの働きに対する期待感を示し、EKDの使命は希望を持ち続けることだと述べた。
「傷口から血を流している世界では、希望は希少なものになっています。私たちには、他者にはない偉大で貴重な使命があります。最も崇高な任務の一つは、多様性の中で命を守ることです。加えて、周辺に追いやられた人や弱者、傷ついた人、敗者にも意識を向ける必要があります。性暴力の被害を受けた人々は総会にこの問題を優先的に扱うよう求めていましたが、私はそれを実行します」
クーアシュス氏はドイツ西部の都市ジーゲンで牧師の娘として育った。ボン、マールブルグ、ミュンスター、ブッパータールで学んだ後、ジーゲンで牧師となり、地元の教会地区長を務めた。
総会ではまた、EKDの構成教会の一つである北ドイツ福音ルター派教会のハンブルグ・リューベック教区監督であるキルステン・フェールス氏(60)が、常議員会副議長に選出された。フェールス氏は1回目の投票で賛成116票を獲得。反対11票、棄権12票で対立候補はいなかった。
ハンブルグ大学で神学を学んだフェールス氏は1990年に牧師按手を受け、2011年に北ドイツ福音ルター派教会(当時・北エルビアン福音ルター派教会)の監督として選出された。また、15年からはEKDの常議員を務めている。
この他、9日に開催された常議員会では、9回の投票を経て、教会、政治、ビジネス、文化などさまざまな分野から、クーアシュス、フェールス両氏を含む新常議員14人を選出した。常議員会は総会、構成州教会による教会会議と共にEKDの統治機関の一つを構成している。常議員の任期は6年。