カトリック系の国際支援団体「カリタス」は30日、アフリカ中部のコンゴ民主主義共和国(旧ザイール)北部で、先週のクリスマス期間中、ウガンダの反政府総力「神の抵抗軍(LRA)」が住民約480人を殺害したとする声明を発表した。時事通信が伝えた。
カリタスが発表した声明によると、スーダン国境沿いにある北部ファラジェで25日、教会が主催したクリスマスコンサートが襲撃され、26日までに約150人が殺害された。このほか少なくとも4地域で襲撃があり、計366人が殺害されたという。教会は放火され、避難民は6500人以上、拉致された子どももいると言う。
カリタスの声明はスタッフらの報告をもとにしたもので、29日には国連人道問題調整事務所(OCHA)が地元当局者らの証言をもとに、北東部の村で住民189人が虐殺され、少なくとも20人の子どもが誘拐されたとする声明を発表している。
OCHAの声明によれば、同地域では今月中旬からウガンダ、コンゴ、南部スーダン政府が共同でLRA掃討作戦を行っており、LRAが逃亡の途中で虐殺を実行したと見られている。しかしAP通信によれば、LRAのスポークスマンは関与を否定していると言う。
自らを霊媒であるなどと主張するジョゼフ・コニー率いるLRAは、1987年に結成されたウガンダの反政府武装勢力。聖書に記されている「十戒」とウガンダ北部からスーダン南部に分布する民族「アチョリ」の伝統に基づく国家建設を掲げているが、住民の虐殺や子どもの拉致、少年兵化、性的搾取などの非人道的な行為が絶えず、国際的な非難が集中している。
国際刑事裁判所(ICC)の情報によれば、1980年代後半からの内戦でLRAは2万人以上の子どもを拉致したとされている。一方、LRAの戦闘員の85%は11〜15歳の拉致されてきた子どもたちで、LRAに対する軍事攻勢は「犠牲者の虐殺」とも捉えられ、問題が複雑である。