米ケンタッキー州で昨年5月にオープンした創造説に基づいた展示を行う博物館「クリエーション・ミュージアム」がこのほど、地元のシンシナティ動物園と協力して両者の入場料割引などを行う事業を始めたが、開始直後に博物館側の信仰を良しとしない人々からの批判が集中し、動物園が事業から手を引く事態になっている。オープン時には世界から130以上のメディアが駆けつけ注目を集めた同博物館であるが、今回の騒動をめぐっても再びメディアの注目を集めている。
「狭量な人々が、たんに我々のキリスト教徒としての信仰を理由に排斥を行おうとすることは残念なことだ」。動物園側の対応に一定の理解を示しながらも、協力事業の中止という決定に対しては落胆の思いを隠せない様子で、同博物館創立者のケン・ハム氏は語った。
「(同博物館公式の)ブログに書かれたいくつかのコメントは、キリスト教信仰とともに何かを行うことへの対しての非常に不寛容な姿勢が明らかであった」とハン氏は指摘する。ハム氏によれば、動物園側により多くの抗議が殺到し、多くの場合は博物館側が提示している信仰や考え方に反対する内容だったという。
同州ピータースバーグにある広さ約6300平方メートルの同博物館は、米国の創造説伝道団体であるアンサーズ・イン・ジェネシス(AiG)が主体となって総工費約2700万ドル(約25億円)をかけて建設した。先端技術を利用した可動式の恐竜模型の展示や、「ノアの箱舟」などが再現されている。
展示されている恐竜は、ユニバーサル・スタジオのキング・コングなどの目玉展示を担当したパトリック・マーシュ氏が手がけたもので、非常に精巧にできている。オープン以来入場者は当初の予定を大きく上回り、これまでに約60万人以上が訪れている。
ハム氏は今回の事態を残念だとしながらも、「正直に言えば、我々は反対者からのこの種の批判にはなれている」「この様な排斥があることはそれほど大きな驚きではない」とコメント。前向きな様子を見せている。動物園との協力事業は中止となってしまったが、同博物館では「何はともあれ、割引料金をどうぞご利用ください」と、今月2日から11日までは当初予定していた約1000円程度の割引価格でチケットを販売するという。また、12日からはクリスマスの特別展示も開始。イエス・キリストの降誕シーンを野外で再現するという催しを予定している。