米国ニューヨーク州の公立高校の教師が生徒たちにヨガを教えたことについて、公立の学校でヨガを教えることはヒンズー教の指導につながり政教分離に違反するとして、保護者と宗教指導者らが中止を要求していることがわかった。在米日本人などを対象とする情報誌「U.S. FrontLine」(電子版)が伝えた。
AP通信によると、同州メセナ学校区の公立高校の教師2人は昨年から、試験前のストレス解消方法としてボランディアでヨガを教えていた。2人はこのヨガのプログラムを学校区全体で展開する準備中だったが、「ヨガのクラスでヒンズー教を教え込まれている」という苦情が保護者などから寄せられたため、現在活動を中断しているという。
中止を要求しているカルバリー・バプティスト教会のコリン・ルシッド牧師は、「ヨガの長所は理解しており、それに反対する訳ではない。その背後にある哲学とヒンズー教との結びつきと、その表現方法に反対している」と理由を説明している。
一方、同学校区のジュリー・リーガン教育長は、「2人の指導教師が陰で宗教的な意図を持っているならば、クラスを認めるはずがない。2人は運動で生徒をリラックスさせ、学習意欲を向上させたいだけだ」と反論し、「全米26州の約100校がヨガを教えており、教師がヨガ指導員資格を取得するための資金も政府が援助している」と説明を加えた。
アラバマ州では学校でのヨガ指導を禁じる法律が宗教団体の主導で1993年に施行された。また、コロラド州の保護者は02年に公立学校での授業カリキュラムからヨガを排除するように求め成功している。
一方、全米ヨガ協会のウェブサイトではヨガについて、「宗教ではなく、ヒンズー教以外にも世界的な宗教で取り入れられている」と説明している。