広島は6日、原爆投下63年目を迎える。次世代に原爆の悲惨さを伝え、平和についての認識を深めてもらおうと、日本聖公会神戸教区は5、6日の2日間、カトリック広島司教区と合同で記念集会を開催し、被爆体験を聞く講演会や恒例の平和行進などを同市内で行う。6日には原爆投下時刻の8時15分にあわせて追悼聖餐式を行い、世界の平和のために祈る。
平和公園から世界平和記念聖堂までの約1.5キロを歩く平和行進は、81年に広島を訪れた当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が核兵器のない世界の平和を訴えた翌年から始められた。その「平和アピール」と呼ばれるメッセージで教皇は、「この2つの町(広島と長崎)は、『戦争こそ、平和な世界をつくろうとする人間の努力をいっさい無にする』と将来の世代に向かって警告しつづける、現代にまたとない町として永久にその名をとどめることでしょう」と語っている。
広島市の秋葉忠利市長は1日、今年の広島原爆の日に平和記念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。日本政府が国連に提出した核廃絶決議が世界170カ国の支持を得たことに言及し、核廃絶実現を強く訴えるとともに、日本政府に対し、被爆国として核兵器廃絶へ向けた主導的役割を果たすことを求める内容となっている。
昨年の平和行進には約500人が参加。今年も、5日午後5時45分から平和公園供養塔前で祈りのつどいが開かれた後、6時20分ごろから行進が始まる。また、同日午前10時から日本聖公会広島復活教会で開かれる集会では、沖縄教区の上原榮正司祭が沖縄での戦争体験や、米軍再編、憲法9条改憲などの問題について講演するほか、神戸教区の佐藤眞一司祭が広島での被爆体験を語る。