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神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(17)文化の相違への対応 浜島敏

2017年4月1日21時19分 コラムニスト : 浜島敏
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関連タグ:浜島敏

異国の文化を理解するには、その生活と考え方の中に、許される限りなじんでいかなければなりません。でないと「やもめの家を食い物に」(マルコ12:40)する律法学者のことを、南部メキシコの先住民たちに話すことが無駄骨折りであることに気付かないことになります。

この地方では、よくトウモロコシの茎で家の壁が作られ、屋根が草でふいてあるために、家畜はまぐさが欠乏してくると、家屋を実際に食べてしまうのです。だから彼らは腹の空いた牛の群れがやってきて家を食べてしまわないように用心します。

「やもめの家を食い物にする」も、ところによっては有効な例えになるどころか、現実の危険を表すことになるのです。こんなわけで、彼らは聖書を読んで「一体この律法学者は何だろうね。腹がへってがっついている家畜のことかね」といぶかることになります。こんな場合には「未亡人の家を破壊する」と訳すべきです。

文化の相違は、翻訳の妨げにはなりません。相違に従って、相当する訳語を探せば事足ります。寝そべったようなヴィクトリア湖の、曲がりくねった沿岸に住むザナキ族に、「見よ、わたしは戸口に立って、たたいている」(黙示録3:20)などと言うわけにはいきません。これではキリストが、俺は盗人である、と宣言しているのも同然です。

ザナキでは、泥棒はこれから押し入ろうとする小屋の扉をノックすることにしているからです。家の中で何か人の気配か物音でもすると、泥棒はそそくさと暗闇に消えるのです。まともな人なら、他人の家にやって来ると、中にいる人の名を呼びます。そして、声で誰であるかを分からせるのです。

従ってザナキ語では「ごらんなさい、私は戸の外に立って呼ぶのです」と訳さなければなりません。この表現は少々妙にひびくでしょうが、表す意味は同じです。いずれもキリストは、人々に門戸を開くように望んでいるのです。キリストは盗人ではないから、無理に押し入ることはなさいません。キリストは戸を叩く──つまり、ザナキ語の「呼ぶ」──のです。どちらかといえば、ザナキ語の言いまわしが、私たちのよりも人間らしい親しみがあるようです。

文化上の対応が、時として妙に異なる場合があります。オートボルタ(現ブルキナファソ)のワガドゥグーの町は、かれきって広漠と広がる砂漠で囲まれています。この辺境に住む頑強なモシ族は、船など全く知らないし、いかりなどなおさらです。ですから、「魂にとって頼りになる、安定した錨(いかり)」(ヘブライ6:19)などと言っても、馬の耳に念仏です。「錨」という語を説明するのには、おそらく1節の文をつづらなければならないでしょう。

またこれを「魂のための重い、またのある鉄片」とでも言おうものなら、嘆かわしいほど残酷な苦痛を表す意味にとられ、精神の安らぎや安全には何の関わりもない言葉になるでしょう。けれどもモシ族は「尖り杭」という完全に対応する語を持っております。彼らは馬や牛の群れを大切に所有しており、夜分には「尖り杭」につないで、柵で囲うのを習いとしております。

ですからこの人たちの読む新約聖書には「魂を安全にし、不動にする尖り杭」と書いてあります。この「尖り杭」は特に貴重な語です。というのは、モシ族はこの語の比喩的な意義を認めているからです。彼らのことわざの1つに「良い馬を悪い尖り杭につなぐ者なし」というのがあります。

文化上の対応が全くないこともあります。信じられないことですが、この広い世界のどこかには、賭け事を全く知らない人々も住んでいるのです。シピーボ族にそういう人がいます。限りなく続く緑草地帯を貫いて、もつれた輝かしいリボンのように流れているアマゾン川の支流、ペルー領内の幅広く曲がりくねった河岸に、彼らの村落は腰を据えています。

一生かかって探したところで、シピーボ語の中に「ばくち」を表す現地の言葉は見つかりません。こんな単語は本来ないのです。彼らは賭け事を知らないからです。そうなると、マルコによる福音書15章24節にある、兵士たちがイエスの着物を分けるために「くじ引きで決めて」というくだりを、どのように訳したものでしょうか。

たとえかゆい所に手が届かない感じがあっても、事の次第を記述するより手はありません。そこで、シピーボ語訳には、「彼らは小さなものをふって、だれが何を取るかを定めた」とあります。もちろん「小さなものをふった」という句は説明の必要があるでしょう。が、それは聖書ではここに限ったことではありません。

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*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

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■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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