彼らが食事を済ませたとき、イエスはシモン・ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたは、この人たち以上に、わたしを愛しますか。」ペテロはイエスに言った。「はい。主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの小羊を飼いなさい。」・・・ペテロは、イエスが三度「あなたはわたしを愛しますか。」と言われたので、心を痛めてイエスに言った。「主よ。あなたはいっさいのことをご存じです。あなたは、私があなたを愛することを知っておいでになります。」・・・(ヨハネの福音書21章15節〜19節)
まだまだ外の気温は低く寒さを感じますが、日差しの中に、空気の中に着実に近づきつつある春を感じる毎日となってきました。季節の移り変わりを感じるこの時に、信仰歴の表彰式を持つことができて感謝です。表彰を受けたから偉くなるわけではありませんが、20年30年40年、そして今年は50年というお祝いの時を持つことがでたことを心から感謝しています。
実に半世紀に亘りクリスチャンとしての信仰を持ち続けることができたということは、何という幸いでしょうか。本当に心からお喜び申し上げたいと思います。物事がすぐに移り変わる時代に、私たちの人生の中には変わらない輝きがあるということは、幸せだと思いませんか。
私も中学生でクリスチャンとなって以来、体型も顔かたちも、歌声も、立場も、友人たちの状況も全てが移り変わりました。人生の中に変化は付きものです。しかし、私たちの人生の中に、変わらない神の命が注がれて一人一人の人生が輝きますから感謝しましょう。
今日読んだ聖書の中に登場するペテロは、熱しやすく冷めやすい、強さと脆さを併せ持ったような人物でした。
イエスに何があろうとついて行くと大胆に宣言していたにも拘らず、イエスが捕らえられ十字架にかけられようとすると、彼は怖じ気づき、イエスのもとから逃げ、天に誓ってイエスを知らないとさえ言ったのです。しかし、本当にキリスト者と変えられた彼の後半世の中では、変わらない強い生き方が輝いています。最後は、自分の命を殉教者として投げ出し、逆さ十字架に付くまで、変わらないキリスト者としての輝きを放ちました。
どこにその変化の分岐点があったのでしょうか。それがこの聖書箇所です。キーワードは愛です。本物の愛を私たちに指し示す3つの秘訣があります。
1.イエスに通じる愛ですか?
自分が誰かを好きならば、何かを愛して追求していればそれでいいというような、自分の側だけの独りよがりの愛が横行する世の中です。しかし、私たちの人生を輝かせる愛とは、イエスに受け止めていただける愛です。キリストに通じる愛、神に届く愛を真剣に求めていきましょう。
クリスチャンである私たちは神を愛することができるから感謝なのです。神は愛ですが、愛である神を愛することができるのが、本物の愛です。わがままを表現するだけの愛ではなくて、本物の愛の塊である神を愛することのできるのが、私たちの伝えるべき本当の愛です。
キリストを愛してまいりましょう。
2.本物の愛とは神の働きを成すことのできる愛
私の羊の世話をせよと、主は3度ペテロに語られました。本物の愛とは、自分のしたいことをし、求める物に手を伸ばすのではなく、神の働きをすることができる愛です。
神を愛し、キリストを愛したペテロに対して、イエスは彼の死に方を教えました(18節)。そのとおり彼は殉教しましたが、それは神に示された使命を果たす生き方でした。
クリスチャンである私たち一人一人には、自分の希望や好みとは別に、奉仕や証し、伝道、使命、任務、責任がイエスから与えられています。あなたも神の喜ばれることを行なってまいりましょう。
3.本当の愛とは、いつまでも続くもの
主は3度もあなたは私を愛するかと問われ、ペテロは私があなたを愛することは、主よあなたがご存じです、と繰り返しました。すなわち繰り返し、続けて主は愛を問われたのです。本当の愛とは、繰り返しても、いつまでも続くものです。
ペテロにとって、それを問われるのは苦痛でしたが、苦しくなるほど、本当に継続される愛が大切だとイエスは語ってくださるのです。私たちの人生に本物の意味を与える主の愛をいただき、輝かせていただきましょう。
変わりやすいペテロは、この愛によって造り変えられ、キリストの僕として、時代を変え歴史を変えた男として生きたのです。私たちも同じです。あなたを変え、あなたを輝かせるのはキリストの愛です。
独りよがりの愛ではなく、神に通じ、神に受け止めていただける純粋な愛をキリストに向けて発しましょう。神の働きを行なっていく愛を持ち、何があっても変わらないこの愛を、告白できるものでありたいと思います。
私たちも、主が天に戻って来いと言われる時まで、忠実な僕として歩み続けてまいりましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。