イムマヌエル綜合伝道団(東京都千代田区)が、ケニアへの支援献金を募るための「ケニア国内難民支援献金 趣意書」を全国のインマヌエル教会に送り、難民援助への賛同を促している。締切は3月5日。同団体が宣教師を派遣している中、暴動や政治危機が続くケニアで、再び人々の暮らしに平安が訪れるように、平和のために少しでも力になりたいという思いから、今回の具体的な動きになった。
趣意書には「生活物資」「医療」など、緊急にケニアの人々への援助が必要な事柄が挙げられており、困難な状況の中にいる人々に対して出来る限りのことをしたいという願いが記されている。
ケニアでの暴動の発端は、昨年末に行われた大統領選挙で、開票に不正があったという疑惑から候補者間で争いが始まったことによる。争いが暴力に発展し、多民族国家である同国の情勢と相まって部族抗争が勃発した。各地で暴動が起こり、教会が焼き討ちに会うという被害も起こった。30万人の国内避難民が発生し、暴動や衝突による死者は1000人以上にのぼる。
ケニアの教会や地域の人々が懸命に祈り、平和を訴え続けている現状で、同団体はその声に応え「キリストの愛の具体的な表れ」として難民キャンプでの支援活動に加わっていく意向だ。
すでに同団体と協力関係にある宣教団体ワールド・ゴスペル・ミッション(WGM)ケニアは早くから赤十字などと協力し、これまで宣教を通して関わってきた同国内の諸教会や病院と連携し様々な支援活動を行っている。
食料、水、下水設備、毛布、衣服といった緊急に必要なものから、学校の通学費、業務再開の支援、魂のカウンセリング、平和と和解のための支援、地元での再建の援助、移動の援助、聖書とトラクトの配布など長期的な支援が行われており、身体的、精神的、霊的なサポートと、様々な援助の手段があることを伝えている。
私たちは自分と何らかの関わりがある時「何かしなければ」という思いがうまれ、放っておくことの罪責感から解放されるために援助の手を差し伸べるというケースが多い。世界中で起こる多くの悲劇に対し、日常の生活に流されて傍観者としてのスタンスでいることに慣れきっているのではないか。
しかし、私たちクリスチャンには、すべての民の争いに対する責任がある。あらゆる者がみな共に生き、平和を成していくための「福音」という希望を託されている私たちは、人々の争いの中に神の痛みがあることを知り、壊れてしまった関係を回復し、平和を成すために主の愛を伝えなければならない。
1000人以上のケニア人の死は、ただの数字として認識されるべきものではなく、共に福音によって生きるために送られた、かけがえの無い大切ないのちである。
今回の支援の呼びかけも、ただ宣教地として関わりがあるからという理由だけではなく、十字架による和解が神と自分との関係を復活させた素晴らしい奇跡を、この地に住むすべての人々に伝え、「赦す」ことの希望を伝えたいという切なる願いと情熱の現われであり、海の向こうの出来事として傍観者になれない「クリスチャン」の姿が証しされているものであることを願う。