3月に4年間の学長任期が満了し退任した沖縄キリスト教学院大学・沖縄キリスト教短期大学(沖縄県中頭郡西原町)の中原俊明前学長と、中原氏から学長バトンを渡された友利廣新学長が、これまでの4年間の同大の取り組みを振り返るとともに、これからの大学運営について語った。
対談の中で中原氏は、同大の「建学の精神」は、「キリスト教をベースにしつつもそこにはプラス・アルファがあるんじゃないか」と思ったと話し、それは歴代学長たちがこだわってきたもので、それを自分なりに整理したところ、「キリスト教」「沖縄」「平和」の3つのキーワードであることを理解したと明かした。そして、「次年度からはこの3本柱で大学のいろいろな活動が展開されていくものと思っている」と語った。
また、学内のアドミニストレーションのシステムを新たに確立・定着させてきたことや、財政面の健全化の面で、18歳人口減少の中での学生募集という大きな課題に対して取り組んできたことを振り返った。その上で、最大の問題として「休退学者の抑制問題」を挙げた。さらに、学納金と国庫補助金が減少傾向にあることにも触れ、特に補助金については今後の大きな課題になるだろうと懸念を示した。
友利氏は、中原氏が同大の学長を務めてきた中で、いろいろな企画を現場に根付かせてきたことに敬意を表した。自身も目指す学院像として、「建学の精神」の重視を強調し、「建学の精神」を、教職員をはじめ学生へ浸透させることを課題の一つに挙げた。また、学生募集については、高校サイドとの信頼関係を作っていくことの必要性を語り、学内状況を調べた上で今後の方針を決めたいと伝えた。
深刻な問題として学生の経済的困窮を挙げ、すぐにできる対策として、給付型冠奨学金の拡充を示した。その一方で、中退学者を減らすための抜本的対策として、「人材育成の長期展望に立って、企業協賛と行政の協力を得ていくことが大事なのではないかと思っている」と話す。
そして、「社会の担い手である有為な人材を育て世に送り出すこと」「多くの研究者を擁する研究機関としての特色を生かし、学問的知見を社会に還元すること」の二つが大学に課せられているとし、地域連携、社会貢献を深めていくと語った。さらに、平和問題を総合的に研究する拠点として、同大の沖縄キリスト教平和研究所の役割に期待を寄せた。
最後に2人は、学生たちへエールを送った。中原氏は、「キリスト教的生き方を学ぶことは国際人になれる素質があるということ」だとし、「国際人の視点や精神を持ちながら、専門的な学びと共に、建学の精神からしっかり吸収できるものはして育っていってほしい」と述べた。
友利氏は、在学期間中は、社会人としての羽ばたきに備えるときとし、そのためには「常に能動的な学びの姿勢が求められています。本学院の教職員は皆さんが目指す目標を実現できるよう全力を挙げて支援していきます」と結んだ。