1年半の間、「ミッション2015 セレブレーションオブラブwithフランクリン・グラハム大会」の準備の奉仕をしてきました。
1. 600教会の戸別訪問
教会協力委員として600以上の教会を訪問し、大会の協力をお願いしました。非常に貴重な経験でした。
「フランクリン・グラハム大会のことでお話させてください。お時間を取っていただけないでしょうか?」と、初期の頃は、親しくしている牧師先生に電話でアポを取って各教会を訪問しました。
他の教会協力委員やBGEA(ビリー・グラハム伝道協会)スタッフと一緒に訪問しましたが、私がその場にいることで、話がスムーズに進み、協力を承諾してくださった教会が多くありました。話し合いの後で、一緒に食事をしたりして、深い交わりの時を持つこともできました。
訪問した幾つかの教会は、その後、日曜日の礼拝説教や、特別集会の説教などの奉仕に呼んでくださいました。
2. アポ取り訪問から、アポなし訪問へ
大会が近づいたとき、はたとあることに気付きました。首都圏には約2000も教会があるのに、このペースではとても全てを回り切ることができない。そこで、大会3~4カ月前に急きょ方針転換し、アポなしで教会に飛び込み訪問することにしました。1日で20~25教会を訪問したでしょうか。後で協力教会の一覧表を見ると、私が訪問した教会の多くが登録してくださいました。
実行委員会が目標とした協力教会数は、大会当日までに400でした。時系列の推移グラフは、ずっとマイナスを指していました。アポなしの飛び込み訪問を始めてから、垂直に近い右肩上がりに協力教会数が増えました。結果として、目標を大きく超える460教会の協力を得ることができました。
1都4県(東京都・神奈川県・埼玉県・茨城県・千葉県)圏内の一つでも多くの教会を訪問して、牧師先生と交わりをし、祈りたいと思いました。「牧師先生方と親しくなり、ネットワークを作って、一緒に日本の宣教をしていきたい!」という一心で回り続けました。
3. 日本の教会に希望がある!
教会を回りながら強く感じたことは、与えられた賜物と使命に応じてそれぞれの教会が一生懸命に地域に根差して伝道していることです。
教会付属の幼稚園を通して地域と深く関わっている教会が多くありました。子どもと父兄が、十字架の付いた建物に出入りし、子どもたちは毎朝礼拝し、昼食時には食前の感謝の祈りをする。父兄がPTA活動に熱心に関わっている。これはすごい働きだなあと思いました。
大きな教会堂を開放して、さまざまな学びの教室を安価で行い、地域の方々が通っている教会がありました。バザーを通して、人々が教会堂に足を踏み入れるところもありました。
目立たない場所に建つ教会や小さな一室を借りている教会の中には、無料で子どもたちに勉強を教えたり、フリースクールをしたりして、地域のニーズに応えていました。
礼拝や祈祷会だけの教会もありますが、それぞれ宣教の情熱を持って伝道し続けていました。
ごくわずかですが、門前払いをされました。「アポイントなしで教会に突然来るなんて失礼だ!」と叱られたこともありました。
「政治的なことで、この大会に関わりたくない!」「そんな大会に大切な信徒を送りたくない!」という教会もありました。それぞれの教会に、それぞれの事情と考え方の違いがあるのでしょう。
各教会を訪問して感じたことは、今まで聞かされていた「希望のない日本の教会の姿」とは大きく違っていることでした。どの教会も一生懸命に伝道し、祈り、活動していました。ですから「日本の教会に希望がある!」と感じました。
特にうれしかったことは、460の協力教会だけではなく、そのほかの教会もたくさん大会に参加してくださったことです。
大会には参加もしないし、協力もできないけれど、「一緒に日本の宣教のために祈り合い、力を合わせて行こう!」という教会もありました。
4. 閉塞感のある教会にも希望がある!
閉塞感を感じている教会も幾つかありました。その教会の先生方の特徴は、砕かれて柔軟なお人柄の方々でした。なまじ成功している教会は、砕かれることなくそのままの勢いで進んで行きかねません。イエス様以外の「教会成長」という目標に走って、いつの間にかイエス様から離れていく危険性があります。
しかし、今、閉塞感を感じている教会は、イエス様に頼る以外に希望はありません。イエス様は、暗闇を照らす光としてこの地に来られました。閉塞感という闇の中でイエス様の光に希望を見いだした教会こそ、真に福音を担うことができる教会になれると思います。
ですから、日本の教会に希望があると感じました。
5. 呉越同舟で協力して伝道をしましょう!
実行委員会の目標は、もちろん「大会を成功させたい!」です。けれども、私たちはその先を見ていました。3日間の打ち上げ花火で終わってしまう大会ではなく、決心した人たちがしっかり教会につながることです。また、教会訪問で作られたネットワークの絆を通して、一緒に日本宣教のために力を合わせていくことです。
「呉越同舟」という言葉があります。意味は、「仲の悪い者同士が一所にいること、または共通の目標で協力すること」です。社会派も、福音派も、聖霊派も、それぞれに違うイエス様がおられるのではありません。伝えているのは同じお方です。異端やカルトでない限り、考え方の違いや、やり方の違いがあったとしても、それを乗り越えて協力していきましょう。
「協力」とは、「十字架と共に三つの力を合わせる」と書きますが、3日間の大会は、まさにその協力によってなされました。これを継続していきたいものです。
6. 送迎バス運転手と教会バス運転手
一生懸命に教会を訪問し、寝ても覚めても、「次はどこの教会を訪問しようか!」とばかり考え続けてきましたので、大会当日は会衆席に座ってゆっくり楽しませてもらおうと考えていました。しかし、「オーストラリアから来るヒルソング(Hillsong)賛美チームの送迎バスの運転手をお願いできないでしょうか?」とBGEAから声が掛かりました。
私は、普通自動車や自動二輪だけではなく、けん引や大型二種免許なども所持していますので、否応なしにその奉仕を承諾しました。そして資格を活用することができました。
ヒルソングの皆さんは、底抜けに明るくフレンドリーな若者たちで、すぐに仲良くなれました。
数百キロの音楽の機材を持って来日しましたので、バスの後ろ3分の1は機材で山積みになっていました。補助席まで全部を使い、超満車で空港への送迎およびホテルと武道館の送迎をしました。
バスを運転して空港に迎えに行くときは空車だったので、広い車内を見ては寂しさを感じました。日本の教会というバスは空席がたくさんあります。こんな素晴らしい福音が語られているのに、空席のままではもったいないです。将来、「教会というバス」にたくさんの人を乗せて、天国を目指して運転したいと思いました。
大会では、約1500人がイエス・キリストを信じる決心をしました。460の協力教会と、その他の教会というバスに乗車して、皆さん天国まで行ってもらいましょう。
「イエス・キリストの十字架と復活が私のためであった!」と信じた方々は、それぞれ洗礼を受け、教会生活を通して成長し、共に伝道をしていただきたいと願います。
この大会を機に、全ての教会が共に祈り、力を合わせて、日本の宣教を推進していくように祈ります。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。