同性婚の合法化をめぐり、米国では現地時間28日に米連邦最高裁で口頭弁論が行われる。これに先駆け、米国内の宗教指導者らが、伝統的な結婚を主張する共同声明を発表。指導者らは、結婚は一人の男性と一人の女性の間のものであることを再確認し、子どもを保護し、母親と父親を与えるために、異性間の結婚が欠かせないものだという見解を示した。
声明は、「さまざまな信仰を持ったコミュニティーの宗教的指導者として、結婚は家族の基盤であり、子どもは母親と父親両者の下で育てられるものと認識する」としている。
声明には、米国福音同盟(NAE)理事長のリース・アンダーソン牧師、北米聖公会のフォーリー・ビーチ大主教、米国カトリック司教協議会の結婚を奨励し守るための小委員会委員長でサンフランシスコ大司教区のサルバトーレ・J・コルディレオネ大司教など、著名な宗教指導者たちが名を連ねている。そのほとんどがキリスト教指導者だが、ワシントン地区イスラム協会のファイズル・カン師の名もある。
28日に連邦最高裁は口頭弁論を行い、各州が結婚の定義を各自決定する権利があるか、あるいは米国憲法が同性愛者の結婚を50州全てにおいて合法化するべきかどうかを審議する。
米国では現在、13州が同性婚を禁止し、ワシントンDCと36州では同性婚を認めている。
声明は、「男女が一緒になるという結婚は、父母と子どもとの関係を促進し保護する唯一の制度」だと訴え、結婚の伝統的な定義を守ることが子どもたちの健やかな成長には欠かせなく、全ての子どもには母親と父親を持つ権利があると主張している。
また、「多くの親が、勇敢にも片親一人で子どもを育てる努力をしており、この(親子という)関係が必ずしも認識され、継続されるというわけではないが、結婚に基づいてつくられる家族を奨励し支え、夫婦という共同体に独自の法的保護を与え、それを強化することは、最高の国益ともなる」と主張している。
声明はさらに、「結婚の定義を変え、同性婚を異性間の結婚と同じように扱うことは、宗教の自由をも脅かし、『深刻な結果』を招かざるを得ないだろう」と指摘。「いかなる人も、宗教団体やその信者を含むいかなるコミュニティーも、この新たな定義を受け入れることを強制されてはならない。多くの人々にとって、結婚の新定義を受け入れることは、彼らの良心に反して生きることであり、彼らの宗教的、道徳的な信条を否定することになる」としている。
また、「彼らの価値観が他者に対する敵意や憎しみと解釈され、脅迫、疎外、または不当な告訴を招くなどの恐れを持つことなく、結婚に対する異なる見解や信条を表明する権利を政府が保護する必要がある」と述べた。