子どもは正直ですが、時に卑劣で辛口です。「何で背が低いの?」「あの人、どうして髪の毛がないの?」「太っていますね!」「変な顔!」。このようなことを何の悪気なしに言う子がいるものです。私は、思ったことをそのまま口にする子だったそうで、一生懸命フォローしている親の姿を思い出します。当時、気を悪くしてしまった人がいたら、「ごめんなさい」。
先日、ある人から相談を受けました。「どうやったら、人と楽しく会話ができるでしょうか。教えてください」。私は、「愛を持って、正直に会話することですよ」と言いました。「愛を持って」と言ったのは、「バカ正直な子どものように、思ったことをそのまま話すのではなく」ということです。相手が劣等感を感じ、気にしていることをあえて口にすることは避けるべきです。むしろ、相手のいい部分に目を向けて、そこをほめることで良い人間関係を築くことができます。次に、「正直に会話する」とは、相談者はクリスチャンなので、宗教的な仮面をつけず、「クリスチャンとしてこうあるべき!?」という理想像を演じたり、偽善や偽りを捨て「いい子になろうとしない」ことです。時に、「愛を持って語る」ことと「正直に語る」ことは紙一重です。私が会話する上で大切にしているのは、相手を「愛する家族」「世界一大切な人」と考えて接し、話すように心がけることです。
「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13:34、35)
同時に、「できるかぎり自分に正直であろう」とします。「できるかぎり」というのは、「相手が受け止められる範囲で」ということです。感情を抑圧せず、素直に伝える努力をします。人間関係で問題が起こる理由は、自分の感情を抑圧し、しばらくは我慢しますが、やがて爆発して怒りとともに抑圧された感情を相手に放出させてぶつけるからです。相手にとっては、青天の霹靂(へきれき)です。「一体何が起こったのだろう!?」といぶかることでしょう。
感情を抑圧し、爆発し、抑圧した感情をぶつけるときに、腹を立てていることを相手のせいにします。「あなたが悪いんですよ!」と、怒っていることを相手のせいにして責めつけたとしたら、相手は素直に受け止めるでしょうか。気分を悪くするか、人によっては逆ギレして収集のつかない喧嘩に発展し、人間関係が壊れて修復不能になります。
大切なことは、感情を抑圧しないことです。同時に、腹を立てた理由を相手のせいにしないで、「これこれ、こういう理由で腹を立てたんですよ」と心の痛みをストレートに伝えると、相手は責められているのではないし、素直に耳を傾けて、「ごめんなさい」と言ってくれたりするものです。喧嘩にもならないし、ストレスは溜まりません。
コミュニケーションは簡単ではありません。心を開いて自分を相手に伝え、分かち合うことは恐れを伴うからです。「自分を相手に伝えたら、相手に嫌われてしまうのではないか?」と思うと、なかなか自分の心を相手に話すことはできませんが、そこに人間関係を築く鍵があります。相手に自分を素直に伝える練習をし、ストレスの溜まらない、楽しい人間関係を持っていきましょう。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
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