2月14日は「バレンタインデー」。日本では、女性が男性に愛を込めてチョコレートを贈る日となっている。しかし、バレンタインデーをこのスタイルで祝うのは、日本とお隣韓国くらい。中国や台湾では、男性が女性に高級品やペアアクセサリーなどをプレゼントしたり、食事をごちそうしたり、バラの花を贈ったりするという。バラの花の数でメッセージも異なり、例えば1本なら「あなただけ」、100本ならプロポーズだといわれている。
また、欧米では「カップルの日」というスタイルで、男女どちらがプレゼントするという決まりはない。男性から花束を贈ることが多く、レストランでちょっとした豪華ディナーを楽しむのが一般的という。
特に米国では、バラの花束に、「From Your Valentine(あなたのバレンタインより)」「Be My Valentine(わたしのバレンタインになって)」といったメッセージを添えて贈るというが、こうした習慣の由来には諸説ある。
その一つが、ローマ帝国時代の司祭ウァレンティヌス(バレンタイン)に由来するというものだ。当時のローマ皇帝クラウディウス2世は、愛する人を故郷に残した兵士の士気が低下することを懸念し、兵士の婚姻を禁止したといわれている。当時司祭だったウァレンティヌスは、秘密に兵士を結婚させたが、捕らえられ、処刑されたと伝えられている。処刑の日は、ローマ神話のユノの祭日であり、ルペルカリア祭の前日である2月14日があえて選ばれた。ウァレンティヌスはルペルカリア祭にささげる生贄(いけにえ)とされ、撲殺されたという。そのため、キリスト教においても、この日が祭日となり、5世紀ごろから祝われるようになったとされている。
その後、イングランドの詩人ジェフリー・チョーサー(1343年頃〜1400年)の詩などによって、バレンタインは恋人と結び付けられて語られることが多くなり、恋人たちの聖人のように扱われることにとなった。
現在では、歴史的に矛盾する点も指摘され、史実だと証明できないとして、カトリック教会は第2バチカン公会議(1962〜65)後、ウァレンティヌスを聖人から除外している。
この行事から派生した習慣として、日本では「ホワイトデー」(3月14日)が知られているが、韓国では、バレンタインデーやホワイトデーに縁がなかった男女のための日として「ブラックデー」(4月14日)という習慣もあるなど、宗教的な行事としてよりは、大衆文化として根付いている。
また、イスラム圏のサウジアラビアでは、近年の外国文化の流入によって一般的に認知されるようになってきたというが、2004年2月にサウジアラビア最高位の宗教指導者がバレンタインデーを禁止する声明を発表。違法行為となっているが、多くの人たちがバレンタインデーを祝い続けているという。
宗教上の理由に関しては諸説入り乱れている上に、立場によって好き嫌いの分かれる日でもある「バレンタインデー」。しかし聖書には、「御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、 柔和、自制であって、これらを否定する律法はない」(ガラテヤ5:22〜23)と書かれている。由来や各国で風習が異なることはともかく、互いの愛を確かめ合う日があるのは、浮気や離婚が増えている現代においては、よいものではないだろうか。