コミュニケーションの権利に基づいて社会正義を促進する非政府組織である「世界キリスト教コミュニケーション協会」(WACC、事務局:カナダ・トロント)のプログラム担当副部長のフィリップ・リー氏は11日、前日に施行された日本の特定秘密保護法に関する本紙からの問い合わせにメールで回答し、「日本政府は表現や意見の自由を尊重すべきであるという主張を、WACCは支持する」などとする見解を伝えた。以下はその全訳である。
◇
WACCの立場は、表現の自由と情報の自由を含むコミュニケーションの権利は、真に民主的な社会の基本的な支柱であるということだ。ジャパンタイムズ紙(2014年12月10日付)の記事によれば、「2013年12月に国会を通過したこの法律の下では、政府にある19の省庁は、今や外交や防衛、対テロリズム防諜の分野において機密であると思われる情報を国家機密として指定できる」。
ご承知のように、いわゆる「対テロ戦争」の文脈の中で、多くの国々が国家安全保障や対監視に基づく議論に依拠して、自国の政策や活動に関するより厳しい規制を採り入れている。同時に、国家機密についての市民の意識や説明責任の必要性はこれまでになく高まっており、市民社会はその名において何が行われているのかを知る権利を持つことを認識している。
明らかなことは、その状況がどうであれ、公共サービスの媒体に責任を負う人たちには、公平で均衡のとれたニュースの報道を行う義務があるのであり、これには公共の利益のうちに含まれる責任ある調査的なジャーナリズムも含まれる。明確で受け入れられる理由を示すような偏りのない司法の判決、言い換えれば、国際的に受け入れられている基準に違反しないような法に基づく適正手続きが得られるのでなければ、秘密法はジャーナリストたちの活動を黙らせたり制限するために使われるべきではない。
この国が真に安全保障上必要なことを考慮に入れつつも、日本政府はいかなる立法においても世界人権宣言に込められた表現や意見の自由を尊重すべきであるという主張をWACCは支持する。これらの問題に関する開かれた公開討論が不可欠である。
WACCはまた、日本の平和憲法の第9条を再解釈または変更するという決定を見直すよう日本政府に求める要求も支持する。安全保障の問題は両方の立法の動きの要素をなしており、あらゆる側面を含みあらゆる意見を知ろうとする公開討論は、そのような決定に対して、あらためて死活的に重要な必須条件である。