カリブ海諸国を襲い、21日未明にメキシコのユカタン半島に上陸した大型ハリケーン「ディーン」は22日、同国ベラクルス州に再上陸した。ディーンの勢力は同半島に達する前には5段階区分で最強の「カテゴリー5」とされていたが、上陸後は急速に弱まり、現在は熱帯性低気圧となった。AP通信によれば、ディーンによりカリブ海諸国では少なくとも12人が死亡したとされており、被害のあったジャマイカやハイチ共和国などで、ワールド・ビジョン、クリスチャン・エイド、救世軍などの各キリスト教団体が支援活動に当たっている。
AFP通信によると、ディーンは同州の湾岸都市トゥスパンの南南東約65キロの地点に22日、再上陸した。21日のユカタン半島上陸時は、最大風速時速264キロメートルと、これまで大西洋で発生して上陸したハリケーンの中で観測史上3番目の規模であったが、再上陸後の22日午後には最大風速時速112キロメートルまで弱まり、熱帯低気圧となった。メキシコでは、家屋倒壊などの被害は生じたものの、住民は事前に避難しており、これまでに死者は確認されていない。
ディーンによる被害があったジャマイカでは、首都キングストンにある救世軍東ジャマイカ地区が、仮設住宅に住む人々に毎日500食の食事を配っており、同国西部のモンテゴベイにある同西ジャマイカ地区は、農村部に住む人々を対象に同じく毎日500食の食事を配るなどの活動を行っている。
一方、英国に拠点を置く慈善団体クリスチャン・エイドは、ジャマイカ国内で道路に横たわった木やハリケーンによって飛ばされてきた様々な残骸を撤去する作業に力を入れているほか、農作物に大きな被害が出たハイチ共和国でも援助活動に当たっている。また、米国ワールド・ビジョンは、毛布やシーツ、衛生・医療用品などの物資をあらかじめユカタン半島に配置するなどの対策を行ったと伝えている。