お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で東京ハイナイトが行われた。キリスト栄光教会牧師の川端光生氏が特別講師として招かれ創世記の契約について説明がなされた。創世記の学びは今回で第11回目となり、創世記37章~50章の箇所について「イスラエルの神は契約を忘れない」と題されメッセージが伝えられた。
川端氏は旧約聖書について「アブラハム契約に基づく神の約束は必ず成就することを歴史的に証明してきた書」であると述べ、アブラハムとの契約を忠実に遂行される神様のご計画についてヤコブ一族を通した契約の継承とヨセフと他の兄弟間の和解の歴史について説明した。旧約聖書で神は一貫してユダヤ人に契約に基づく希望を与えており、「希望は必ず成就する確信があるからこそ、私たちはキリストの再臨を待っているのです」と述べた。
また現代社会において、ユダヤ人がキリスト教に対して心をかたくなにしている理由は、キリスト教徒による過去の歴史の中でのユダヤ人への迫害にあることについても指摘し、「ユダヤ人の心のかたくなさが崩れるために(過去の迫害について)悔い改めが必要。ユダヤ人が真のメシアを知ることができるように、キリスト教会こそ隔ての壁を打ち壊していかなければなりません」と述べた。
BFPJapan(ブリッジズ・フォー・ピース・ジャパン)では、毎月第1金曜日にイスラエルと日本をとりなす祈祷会「東京オープン・ハイナイト」を開催している。「イスラエルのいやしと和解」、「日本の祝福と救い」、および「再臨の備え」の三つの目的を掲げて祈祷会を行っている。東京ハイナイトはハイ(Chai)がヘブライ語で「命」、ナイトは英語の「夜」で「命の夕べ」という意味であるという。
BFPでは、イスラエル、米国、カナダ、イギリス・ヨーロッパ、南アフリカ共和国、ニュージーランド、オーストラリアそして日本の各国の支部が共通してハイナイトに取り組み、世界的な祈りのネットワークを構築している。東京ハイナイトでは、準備祈祷の後、最初に賛美を数曲歌い、川端光生氏によるメッセージでイスラエルをとりなす基礎となるみことばの学びを持ち、その後チャプレンの福生ベテル教会牧師の津坂良夫氏の祈祷引導による祈り会を行っている。イスラエルのための課題、日本のための課題、BFPの活動課題の3つを軸とした祈りの要請がなされ、皆が一つになって祈っている。
BFPによると、「イスラエルのために祈る」ということは、日本のキリスト教史にとって決して新しいことではなく、1917年(大正6年)に、イエス・キリストの再臨はイスラエルの再興を伴うとしたウィリアム・ブラックストン著の『Jesus is coming』(「耶蘇(やそ)は来る」)という本が和訳され、当時イスラエルが国を持たず、離散の民であった時代にあって、日本の教会でイスラエルのために祈りが継続的に行われていたという。当時を知る人の証言によると、その祈りは「ひざを打ちたたき、机をたたき、ズボンがすり減って破れるほど」切なる祈りであったという。このような切なる祈りを通して1948年、イスラエルの再建という奇跡が生じた。
一方日本では1930年代に「昭和のリバイバル」として記録に残されるような大リバイバルが到来したが、その後日本の教会内でイスラエルのための祈りを重視する群れと、宣教を重視する群れが分裂し、1936年に和協分離という結果になってしまったという。
BFPは、「世界宣教とイスラエルのための祈りは、両者とも聖書が語る、大切なクリスチャンの務め。キリストの再臨の条件として『全世界に福音が宣べ伝えられる(マタイ24・14))』こと、『イスラエルの回復(マタイ23・39)』の二つがあり、このどちらも重要な再臨の条件であり、二つのバランスが重要。イスラエルのために祈るとき、同胞である日本のリバイバルのために、祈らずにはいられません。私たちは召されているその時代、場所において、託された役割を忠実に果たすものとして整えられたいと願っています。東京ハイナイトが、忠実にその役割を果たしていくことができるよう、皆様のお祈りに覚えてくだされば幸いです」と語る。
9月23日に、パレスチナが国連に加盟申請を行ったが、BFPではパレスチナの国家承認について「パレスチナ国家樹立に関して、切に神の御心を祈っています。現状では、パレスチナ難民を率いているパレスチナ解放機構に国を成立させるだけのノウハウがなく、政府の成熟度(国家を運営するための人材、構造、インフラ)が低く、自力で国家を運営するのは難しい状況にあります。またパレスチナ解放機構のビジョンが『ユダヤ人を地中海に突き落とせ』という武装闘争によってイスラエルからパレスチナを解放するというものであったため、これまでありとあらゆるテロ活動がなされてきました。現在は、テロという過激な方法から、『和平交渉』という話し合いによる戦いへと路線を変えつつありますが、穏健派と言われるアッバス議長でされ、イスラエルとの戦いを明確にしており、イスラエルと共存する意思がないことがうかがえます。さらにパレスチナ解放機構が最終的にエルサレムを首都として、国を確立すると主張していることに、聖書的な課題があると考えています」とし、国家承認が行われるのは時期尚早であることを示唆している。こうしたことから、パレスチナ問題に対する聖書的解決、そして神の計画が前進するために、イスラエルとパレスチナの人々、双方のために祈り続ける必要があるとしている。