23、24日と二日間にわたって開催されたジーザスライフハウスカンファレンスにおいてゲストスピーカーとして講演した千葉ホープチャーチ主任牧師のスティーブン・ケイラー氏は、日本の教会のあるべきあり方をゼカリヤ書4章の「全体が金でできている一つの燭台」に例え、金の燭台としての日本教会として不可欠な要素を説明した。
教会が強く健康な「金の燭台」として発展していくために、必要な第一の要素は、イエス・キリストを中心とする教会であることであるという。人々がイエス・キリストに会いたいという純粋な動機で来ることができる教会になることが必要であると指摘した。イエス・キリストを歴史的・宗教的な人物像として閉じ込めてしまうのではなく、生きたキリストの力強く、愛である存在が教会を通して伝わってくることが必要であると指摘した。そのような教会によって人々の人生や、結婚生活、家族の関係、金銭の使い方が変わってくる「命を与える教会」となることが必要であるという。
第二に「人生を訓練できる教会」であるべきであると指摘した。教会がこの世で一番楽しい宴会が行われているところであり、教会で楽しむことができ、かつ成長を与えてくれる場所であることが必要であるという。どのようにすれば正しい人間関係や素晴らしい結婚生活を築いていくことができるかを教え、教会に来る人々が地上の生活の上に天国をもってくることができるようになるように、また子供たちに人生の本当の価値観を教えていくことができる教会であることが必要であるという。
第三に、「マイ・ハウスである教会」であるべきであると指摘した。教会は単なるクラブやパーティをする場所ではなく、自分の家であり神様の家族が住む場所であるべきであるという。そして家族という存在が私たちを本当の意味で幸せにしてくれると述べた。「神は孤独な者を家に住まわせ、捕われ人を導き出して栄えさせられる。しかし、頑迷な者だけは、焦げ付く地に住む(詩篇68・6)」とあるように、教会が「家」となり、人々が「主の家に植えられ、私たちの神の大庭で栄える(詩篇92・13)」ようになることが必要であると指摘した。
また日本の地でイエス・キリストを宣べ伝えていくにあたって、「すべての聖徒たちのうちで一番小さな私に、この恵みが与えられたのは、私がキリストの測りがたい富を異邦人に宣べ伝え(エペソ3・8)」たパウロ使徒のような姿勢で伝道することが大切だとし、「イエス・キリストは生きて働いておられるお方で、私たちを『日本人』として最高の日本人として下さるお方です。イエス・キリストは日本のためにおられ、日本にぴったり合い、すべての若者が求めている存在です」と述べた。
また教会を健康に立ち上げることが、日本の将来にとっても非常に大切であり、そのためにも教会を育てて行く人たちの心が大切であることを指摘した。教会のリーダーとしてどのようなすばらしい能力や才能があったとしても、心がなければ、すべてはうまくいかない。教会のリーダーの中にある心こそが神様のいのちを他者に届けるためのパイプとなることを指摘した。
その上で教会のリーダーに必要な品性として、第一に「霊的な情熱」が必要であり、神様に向かって燃えるように突き進んでいく心が必要であると指摘した。教会を立て上げて行くリーダーたちが、まず神様との個人的な関係をもつことが大切であるという。
スティーブン氏は「エノクが神と共に歩み、神が彼を取られた(創世記5・24)」箇所および「主が、人が自分の友と語るように、顔と顔とを合わせてモーセに語られた(出エジプト33・11)」箇所を引用し、「人間に与えられている最大の特権であり、人間に与えられている最大の可能性は神様とどれだけ関係が持てるかということ」であると指摘した。
またクリスチャンの家庭にあっても、両親が信じている神様が、そのような個人的な関係の上で示される神様とならなければ、子供が教会を離れてしまう問題も指摘した。教会を育てていくにあたって、人間的な思いによって大きくなりたいと思うのではなく、力の源はあくまで神様との関係でなければならず、神様のことを常に追い求める心を持った人となければならないと指摘した。教会のリーダーに神様との関係があるからこそ、他の人にもキリストの心を分け与えることができるのだという。その上で、リーダーの陥る問題点として、「リーダーとしてどのように振る舞うべきかだけ覚えてしまい、心が空っぽになっていないか」を指摘した。
教会のリーダーに必要な第二の要素として「信仰のビジョン」を持つことが挙げられた。信仰のビジョンにおいては神様が世界一ポジティブなビジョンを持たれていると指摘し、そのような信仰のビジョンを語りかけることができることがリーダーには必要であると述べた。世の中の人々を教会に引きつけるのは福音にあり、福音を語りかけることができ、福音によるポジティブなビジョンを伝えることができることがリーダーとして必要であるという。
また教会のリーダーに必要な第三の要素として「キリストの品性、人格」が挙げられた。品性はどんな才能よりも重要であり、教会のリーダーは箴言4章23節に書かれてあるように自身の心を力の限り見張って、その心を見守る必要があることを指摘した。キリストの品性がリーダーの心にあることを通じて、神様の言葉がリーダーに語られるようになるという。主にあって人生を忠実に、清いまま保つことがリーダーの品性を保つ上で必要であると説明した。
■ スティーブン・ケイラー牧師
千葉県船橋市にあるホープ・チャーチ主任牧師。1959年1月1日、福岡県で宣教師の家庭に生まれ、18歳まで九州で育つ。アメリカのオレゴン州にある、ポートランド・バイブル・カレッジで神学を学び、その後8年間、同州ユージン市において協力牧師を務めた後、1989年に宣教師として日本に帰国する。1991年8月、千葉県船橋市において、ホープ・チャーチを開拓し、現在に至る。