来年初旬から「Cru(くる)」に名称を正式変更することを決定した宣教団体「キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)」は、名称変更についての発表後、献金額が減少したことを明らかにした。正確な数値は明らかではないが、CCCの広報責任者であるマイク・アダムソン氏は、「非常に少ないパーセンテージ」であるが、献金者が減ったと言う。
現在全世界で約2万5千人がフルタイムで奉仕する世界で最も大きく最も知名度の高い宣教団体の一つであるCCCは、来年初旬に米国内の同団体の名称を「Cru」に変更すると、先月決定した。名称変更の主眼は、否定的な含蓄のある「クルセード(十字軍)」を名称から外すことにあったが、60年間使用してきた名称を変更し、特に名称中から「クライスト(キリスト)」も同時に外すことに賛同を示さない支援者も少なくなかったようだ。
CCCの経験者である、センター・フォー・ジャスト・ソサイアティーのケン・コナー会長は、CCCは「クルセード」や「クライスト」といった言葉を人々に触れさせないように名称を変更したと思っていると述べ、今回の決定を見直し、「クライスト」の言葉を名称から外さないように求めている。
しかし、CCCのスティーブ・セラーズ氏は、米フォックス・ニュースのインタビューに対し、「我々はクライストという言葉を我々の名前から取ることを決めたのではない。我々は人々をクライスト(キリスト)により効果的に導くために名前を変更することを決めたのだ」と語った。
セラーズ氏はさらに、名称変更に伴う新しいロゴに十字架が含まれていることを指摘し、福音を恥としているわけではないと強調した。
CCCの指導者らは、旧名称について問題は「クライスト」ではなく、「クルセード」と「キャンパス」の方にあると語っている。「クルセード」は、中世欧州のキリスト教徒による侵略軍「十字軍」を意味する否定的な要素が強く、一方、「キャンパス」は現在の広範囲なCCCの活動を正しく表現しているとは言いがたいからだ。CCCはキャンパス伝道の他に、家族や都市生活を対象にした活動、イエス・キリストの生涯を描いた映画「ジーザス」の普及プロジェクトなど、ここ数十年間は大学のキャンパスを越えた活動を行っている。
新名称「Cru」は、依然として「クルセード」の略称と捉えられる可能性もあるが、新名称自体はクルセードに基づく特別な意味を持っているわけではない。「Cru」は、90年代半ばにある大学でCCCの愛称として自然と定着し、ここ10数年で米国内の大学におけるCCCの愛称として親しまれてきた名称だ。
アダムソン氏は、「Cru」という愛称について、「興味深いことに、『クルセード』という言葉が持つ否定的な含蓄を一切持っていない」と言う。「(中世欧州の十字軍という)歴史的な含蓄を持たずに、これ(Cru)は大学キャンパスという最も挑戦的な環境の中で使われてきた」と語った。
CCCの指導者らは、「Cru」が、現在は誰もが耳にするようになった「グーグル」や「スターバックス」というような言葉になることを期待している。
しかし、CCC支援者の一部は、今回の名称変更を失敗とみなして、CCCとのパートナー関係を終わらせたところもあるとアダムソン氏は言う。
米国で大きな影響力を持つ福音主義者の一人、ジョン・ピッパー牧師は、CCCの名称変更について擁護する内容を自身のブログに掲載した。
ピッパー氏は、教会や宣教団体の「キリストを高めることへの忠実さ」は、その名称中に「クライスト(キリスト)」や「クリスチャン(キリスト教)」といった言葉がないことで判断されるべきではないと言う。
「私の判断では、キャンパス・クルセードは過去数十年より今日の方が、教義的により目覚めておりしっかりしている」
「私はあなた方に次のことを勧めたい。あなたが賛成できない決定をCCCがしたというだけで、CCCスタッフへの支援を止めないで欲しい。これはまるで、前線の戦友にこのように言うようなものだ。大佐が我々の部隊に名づけた名前が好きではないから、もう援護はしないと。この兵士は忠実で有益であろうか?これは決定的な問題だ」と、ピッパー氏はコメントした。
献金の多少の減少があるにしても、アダムソン氏は、CCCの支援者の大部分は「『クルセード』や『キャンパス』といった言葉の難しさを感じることなく、より効果的にイエスの名を伝えられる機会」に期待を示していると言う。
アダムソン氏は、一部の人々が今回の名称変更に賛同していないことを認めつつも、支援者は「我々のこれまでの実績を信頼しており、彼らが支援するスタッフは忠実で有益な人々であることを知っている」と語った。
米国では、毎週約5万7000人の学生がCCC主催の集会やスモール・グループに参加し、信仰の中で成長し、信仰を分かち合うことで力を受けている。最近2年間には7000人以上の学生がCCCの短期宣教プロジェクトに参加。また過去5年間で60万人の学生がCCCの活動を通してキリストを受け入れる決心をしている。
「最近数年間、我々は最も大きな結果を経験している」とアダムソン氏。CCCの目標は名称変更後も変わらず、「福音を効果的に宣べ伝え、より多くの人々にイエスに対して『はい』と言える機会を与えることだ」と語った。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
シリア語の世界(20)名詞1・ヨハネ黙示録の賛美歌3―5章12、13節― 川口一彦
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
ミャンマー地震、国内のキリスト教NGOが緊急募金開始
-
主にある救いと教会のイメージを持って歩もう 万代栄嗣
-
聖書のイエス(6)「わたしはさばきのためにこの世に来ました」 さとうまさこ
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
ワールドミッションレポート(3月30日):北マケドニア 種まきと弟子化を続ける宣教のバン
-
人生を変えることができるのは誰? 菅野直基
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
ミャンマー地震、国内のキリスト教NGOが緊急募金開始
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
聖書の売り上げが5年間で87%増加、英国 Z世代がけん引か
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
人生を変えることができるのは誰? 菅野直基
-
第3回臨床牧会教育(CPE)参加者募集 オリブ山病院で6月30日〜7月11日 「信仰の実践としての医療におけるスピリチュアルケア」
-
主は生きておられる(236)ありがとう、つぼみ 平林けい子
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(218)音楽葬とは?その意味と特徴 広田信也
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
カトリック作家の曽野綾子さん死去、93歳
-
教会で斬首されたキリスト教徒70人の遺体見つかる コンゴ東部北キブ州
-
バイセクシャルの黒人女優シンシア・エリボがイエス役に 配役巡り批判の声も
-
パリ外国宣教会、所属司祭らによる性暴力の報告書を公表 日本でも被害訴える声
-
聖書の売り上げが5年間で87%増加、英国 Z世代がけん引か
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
世界のクリスチャン700万人が参加、テクノロジー駆使した25時間集会「Gather25」
-
日本キリスト教病院協会、新会長に笹子三津留氏
-
アメリカ合衆国長老教会、性自認や性的指向に基づく差別を禁じる教憲修正案を正式承認