調査対象となった15歳のキリスト教徒のうち大学進学意欲を示した人の割合は45パーセント、一方ヒンドゥー教徒では77パーセント、シーク教徒では63パーセント、イスラム教徒では53パーセントとなった。もっとも大学進学意欲を示す人の割合が低かったのは無神論者で32パーセントとなった。
調査は英教育省によって英国内の1万3千人の15歳を対象に行われた。全体としては15歳の若者のうちなんらかの宗教を信じている人の方が、何も信じていない人よりも高度な教育を受けたいと思う意志が強いことが示された。
また英デイリー・メール紙によると、大学に進学意思を示す人の割合は白人で38パーセント、インド系で74パーセント、パキスタン系で51パーセント、バングラデシュ系で53パーセント、アフリカ系黒人で66パーセント、カリブ系黒人で41パーセント、混合人種で40パーセントとなったという。人種別の統計からは白人の中産階級の家族の子どもたちは同様のアジア系の子どもたちに比べ進学意欲が低いことが伺える。
英ウォーリック大学教授のスティーブ・ストランド氏は今回の調査結果から、「宗教はこれまで民族性の代理となるものとして見られてきましたが、白色人種の学生の大学進学意欲を示す率が最も低く、アジア系人種が高いということと宗教的バックグラウンドの相関はあまりないと思います。白色人種の家庭ではあまり進学する大学のカリキュラムについて注視しないのですが、アジア系の家庭では教育を受けることが英国社会で生き抜く道であることから真剣に大学教育カリキュラムを読んで検討することに今回の違いが出たのではないかと思われます」と述べた。
カトリック教育サービスもストランド氏の宗教的背景は関係がないとの見解に同意し、「進学について政府が統計を取るときは、政府のために統計を取っています。カトリックの学校は通常他の学校よりも難易度が高くなっており、私たちはどのような宗教的背景をもつ子どもであってもさらなる教育や専門教育、仕事を積極的に行っていく事を奨励できるように取り組んでいます」と述べている。
一方ヒンドゥー教徒は進学意欲の高さはヒンドゥー教の倫理に起因していると見ており、英レスターにあるヒンドゥー教クリシュナ・アバンティ小学校のプラディプ・ガジャ氏は「私たちは義務について教えています。事を実行する義務、熱心に働く義務、この様な義務はすべてヒンドゥー教の霊性と規律に関係しているのです」と述べている。
最新の政府統計によると英国の人口6200万人中キリスト教徒の割合は72パーセントで、イスラム教徒が290万人、ヒンドゥー教徒が150万人、シーク教徒が34万人存在しているという。