国際エキュメニカル平和会議(IEPC)の最終日となった24日、一週間にわたる正しい平和の在り方を模索し一致に至ったメッセージを発表した。参加者らは今後各国へ帰国し、それぞれの国や文化背景の下、一致した正しい平和のための運動を行っていくことになる。
それぞれの国で様々な歴史的背景があるものの、IEPC参加者らは「戦争は合法であるべきではない」との一致に達し、すべての伝統宗教において平和が中核をなす目的であることを確認した。
発表されたメッセージでは「他の信仰を持つパートナーらと共に、私たちは平和がすべての宗教における中核をなす価値観であることを認識し、すべての人類に平和が約束されていることを認識しました。宗教間の対話を高めることを通して、すべての世界諸宗教における共通の土壌を模索していきます」と述べられた。
すべての宗教や諸教会で平和が中核をなす目的であると認識しているものの、正しい平和に向けたアプローチにおいては、それぞれが異なる立ち位置からアプローチしている。個人的な改宗や道徳を養うことから始める立場の人々が存在する一方、相互補助・キリストの体としての在り方を正すことに焦点を置く立場の人たちも存在する。あるいは広範囲における社会運動や教会が公に認識されることに焦点を置く人たちも存在する。
これらのそれぞれの正しい平和に向けたアプローチに対して、南アフリカメソジスト教会司教のイヴァン・アブラハムズ氏は、「いずれのアプローチも益があります。相互に排他的であるべきではありません。実際、それぞれのアプローチは切り離されて捉えられるものではありません。私たちの中でも多様性がありますが、それでもこのようにひとつの声を発することができます。様々な方法において、この会議は正しい平和に向けた画期的な第一歩となりました。諸教会・提携団体に対して、そして神様が実に愛されておられる傷つき壊れたこの世界全体に対して、今回の会議の成果が収穫されていくでしょう」と述べた。
また諸教会は正しい平和への道をしばしばまっすぐに歩めずにいたことも認識された。同氏は「キリスト者は暴力や不正・軍国主義・人種差別・カースト制・不寛容その他の差別が生じている世の中に対する立ち位置としてしばしば難しい関係に直面せざるを得ませんでした。私たちは神様に私たちの罪の赦しを求めます。そして私たちが正しい平和を提唱する平和の使徒として転換されていくことを神に願います」と述べた。
IEPCでは共同体における平和、地球との平和、市場における平和そして人々の中における平和の4つのテーマについて全体セッションが行われた。それぞれのテーマにおいてただし平和を模索する倫理的・神学的なアプローチについて議論された。
世界教会協議会(WCC)モデレーターのウォルター・オルトマン博士は、IEPCのメッセージは真に歴史的なイベントの一部を捉えたにすぎないとし「言葉以上のもの、エキュメニカルな深い体験を共有しました。今回取り上げた諸課題についてはさらなる取り組みや再考・行動を起こしていく必要があります」と述べた。
WCCの「すべての暴力を克服する10年(2001~2010)」(DOV)での活動はこれで終わりなのではなく、新たな始まりを迎えたとし「それぞれの国へ帰ったら、私たちそれぞれがIEPCのメッセージを伝える役割を負っています」と述べた。
WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト博士は「私たちはひとつになるために呼ばれました。私たちにあって正しい平和への取り組みが一つに結びつけられるのを見ています。私たちに与えられたこの賜物を良く用いていきましょう。ときには正しい平和のために論じ合う必要があります。そして時にそれは簡単なことではないと感じることも必要です」と述べた。
IEPC準備委員会モデレーターのフェルナンド・エンス博士は「今回のメッセージで互いが尊敬し合うときに正しい平和が実現できるという感触をつかんだにすぎません。教会は周辺に追いやられている人々のために存在するべきです」と述べた。
エンス博士は、IEPC参加者たちは今回の会議の結果に満足せず、「私たちの正しい平和への旅は続けられなければなりません。私たちが互いに互いの事情を分かり合えるようにならなければなりません。教会は正しい平和への呼びかけを受け入れられなければ、教会とは言えないでしょう」と述べた。
IEPCのメッセージでは会議のホスト役を務めたジャマイカ教会協議会(JCC)への感謝の言葉も述べられた。JCC代表のゲイリー・ハリオット牧師は、「カリブ地域全体がジャマイカでIEPCを開催できたことを誇りに思っています。計画していた以上のイベントとなり、とても重要な関係性が構築されました。この会議で築いた関係を今後も保っていくことができればと思います」と述べた。
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