ネパールでカースト制度とジェンダー差別に苦しむ女性の活動を支援するNGO「フェミニスト・ダリット協会」(以下FEDO)の現地人スタッフが21日、東京港区で講演会を開催した。国際NGO「反差別国際運動」(森原秀樹事務局長)とアジアボランティアセンター(平田哲代表)が共催した。
「ダリット」は、別名「不可触民」と呼ばれ、カースト制度の最下層の人々を意味する。現在も社会全体から日常的な差別を受けているという。特に女性の場合、封建的家父長制に基づくジェンダー差別との複合差別によって人権が著しく侵害されているという。
FEDO理事のレヌ・シジャパティさんはダリット出身者の立場から、今なお社会全体にダリット女性に対する根強い差別が残っていることを証言した。
ネパール政府は各種人権条約に批准し、人権回復のために政策案を打ち出すなど差別問題に積極的な姿勢をみせてはいる。だが、実際に現場で苦しむダリット女性が何らかの援助を受けられるようなシステムはまだほとんど確立していないという。
アニタ・シュレスタさんはFEDOスタッフの中でも数少ない非ダリット出身者。FEDOの現在の活動、直面する課題などを報告した。
「差別問題の早期解決には、実際の当事者たちが立ち上がらなければ」というアニタさん。非識字者が大半を占めるダリット女性を対象に識字教育の推進や奨学金の供与を行うことで、解放運動を担う人材を育成しているという。
アニタさんは「直面するすべての課題を乗り越えるためには、当事者間だけでなく社会の構成員であるみなさんの協力が不可欠」と話し、「人権問題を自分の問題としてとらえ、共に戦っていく仲間になってもらいたい」と会衆に問題への関心を呼びかけた。
講演者の2人は23日には大阪での講演を予定している。講演に関する詳しい問い合わせはAVCホームページまたはIMADRホームページまで。