【三重県】桑名北高校の保健体育科教諭、伊藤三洋さん(52)が、体育教師として過ごした30年間の集大成として「チームワーク 体育における21世紀の学力形成」を出版した。
同書では生徒を技術レベル、性別で区別せず、同じグループに入れて競技に取り組ませることで、全体の技術水準が高まった点を、実際の観察などを例に挙げて解説している。
例えば、ソフトボールを男女混合チームで競技したところ、「男子は女子の守備範囲をフォローし、自然と競技力が上がった」、「女子同士では遠慮があって力を出さないケースも多いが、男子に交じることで、てらいもなくなり、意欲が向上した」と報告している。
硬式テニスで上手な生徒を下手な生徒と組ませたところ、互いの力を引き出し、技術や協調性の向上が顕著であった、と指摘する。
また生徒から集めたアンケート結果も掲載し、授業を通じて教師と生徒が共に学び成長しているのを双方が感じているのがわかる。
伊藤さんは「生徒の自主性を尊重する考え方が放任にもつながり、教師の質の低下を招いた」と指摘し「(性別や技術レベル別という)枠組みを変えることで、積極的な自主性が生まれる」と話す。
津市内で11月上旬に開かれた全国学校体育研究協議会で話題となり、参加した大学教授と夜を徹して議論したという。同書は税込み千四百円。問い合わせは一粒社(Tel 0569・21・2130)まで。