最近世間ではブログを書く人が急増していると聞く。ブログとは日々更新される日記的なウェブサイトの総称。自分の意見を自由に述べられることと、その記述を不特定多数の人に読んでもらえることが最大の特徴だ。そのため、国や民族、人種、年齢、性別、職業などのあらゆる境界を越えて、現在数多くの人々がブログを手軽な自己表現の手段として利用している。このような現象はキリスト教界においても決して例外ではない。いま、ブログを書く牧師たちが日本のキリスト教界に増えつつある。
本紙の調査によると、まずブログを書いている牧師たちの多くがプロテスタント教会に属していることがわかった。また、その約8割が日記をつけるための媒体としてブログを利用していることが明らかになった。ブログを毎日書き続ける牧師もいれば、毎週日曜日に行われる主日礼拝ごとに書く牧師もいる。内容は教会の情報提供やイベントの告知、宣教報告、一日の出来事に対する感想、聖書や御言葉の黙想、証しなど様々だ。中には、お勧め書籍を画像データで紹介したり、ポッドキャスティングで礼拝のメッセージを流す牧師もいる。信徒たちとの交わりの場、意見交換の場としても用いられているようだ。
生駒聖書学院の学院長を務める榮義之師(エリムキリスト教会)は、4年前の03年から毎日ブログを書き続けているという。自身が留守になるときには息子や娘に代理を頼んででもブログを書き続けるほどの熱の入れようだ。榮師は、ブログを書き始める03年まではホームページ上に日々のデボーションを記録していたが、ブログが登場し始めるとすぐに媒体を切り替えたという。その理由は「不特定多数の人に気軽に読んでもらえる」ということだった。
榮師のブログのタイトルは「牧師雑感」。その名のとおり、その日の出来事や感じたこと、思ったことを単純明瞭な文体で短く綴っている。一つの記事を書くためにかける時間は約30分。ブログでは自由に気軽な気持ちで文章を執筆できるため、多くの時間はかからないという。「毎日ブログを書き続けるための秘訣はあまり難しいことを書かないことです」と榮師はアドバイスする。
また、榮師が書くブログの文章の最後には必ず聖句が添付されている。「聖句を書かない日はない」と榮師は語る。聖句を記載する理由について榮師は「イザヤ11章9節に『主を知ることが、海をおおう水のように、地を満たすからである』という記述があるように、毎日ブログに聖句を書き続けることで神さまのみことばが全地に広がることを願っています」と語った。
榮師は現在、ヤフー、楽天、Goo(グー)などで5つのブログを管理しており、一日の総アクセス数は300前後になるという。一週間では2000前後となり、反響は少なくない。また、ブログを通して情報交換が可能になり、新たな仲間ができたり人々の交流が増えたという。
一方、ブログを教会のホームページとして利用している牧師も多い。日本基督教団木更津教会(千葉県木更津市、楠原博行・彰子牧師)は、ブログを教会のホームページとして利用するようになってから今年で3年目になる。楠原牧師夫妻は同教会に赴任してきた04年5月から教会ブログの作成を始めた。「ホームページだとページが増えて複雑になりますが、ブログだと直接ダイレクトに記事を閲覧することが出来ます。そのほうがよりたくさんの人に見ていただけると考えて教会ブログを作りました。また、ブログだとRSSで記事を読んでいる人も多く、ホームページのようにクリックしてページを開く手間が省けます」と彰子師はブログを選択した理由を語る。
また彰子師は、「ホームページを作成するには専用のソフトやツールが必要になりますが、ブログの場合は記事を載せることもウェブサイトのデザインをすることも比較的簡単にできます。編集が容易なので機動性が高く、便利だと思います」と述べ、ブログの機能を賞賛した。最近では「ブログを見て教会に来た」という新来者も多く、信徒たちからの反響も悪くないという。特にクリスマスやイースターなどの季節的な行事が行われる際には検索でヒットする確立が高くなり、「アクセス数がアップした」と彰子師は語る。
さらに、同教会では礼拝のメッセージをポッドキャスティングで放送している。MP3形式で録音すれば簡単な作業で音声を配信することが可能だ。「礼拝のメッセージを配信する計画は当初ありませんでしたが、ちょうどブログにポッドキャスティング機能が導入されるようになり、記事のように簡単に貼り付けられることがわかったので採用することにしました」と彰子師は語る。
最後に彰子師は、これから教会ブログを作りたいと願う人々に対し、「ブログでもホームページでも同じことですが、世の中に福音のメッセージを伝えるためにこれらを尊く用いてほしいと思います。とにかく、ブログは気軽に伝えたいことを載せることができますし、また多くの人に見てもらうことができます」と語った。
しかし、ブログには何でも自由に書けるというわけではなく、個人名をむやみに記載することやプライバシーの侵害行為、著作権の明記には十分注意しなければならないと彰子師は語った。