世界中で議論を醸している映画「ダヴィンチコード」が第59回カンヌ国際映画祭で公開初日を迎えた。この原作となっているダン・ブラウン氏の本はそのイエスキリストに関する内容から世界中で抗議が湧き上がっている。しかしながら映画制作チームらはこのような抗議者らに屈しない断固な姿勢を取り続けている。
このような中、本や映画の中で秘密主義の残忍な教派であると描かれているキリスト教カトリック組織「オプス・デイ」の会長は毎日ダン・ブラウン氏と「ダヴィンチ」映画制作チームのために祈りを捧げていることを述べたという。
カトリック司教Jacvier Echevarria Rodriguez師は、今回「ダヴィンチ」が大人気を収めていることでどんなに現代社会が適切な精神的、宗教的教育が必要になっているかを露わにしているとし、仏カトリック新聞"La Croix"に対し「私は毎日著者ダン・ブラウン氏と映画制作チームの方々のために祈りを捧げています。なぜなら彼らは彼らが行っていることがどんなに人々を霊的に傷つけているか、そしてどんなに冒涜行為であるか気づいていないからです。このような現象が生じることで現代の私たちの社会がなにか自分たちの理解を超越したものを欲していることが伺えます。しかしこの映画を観ることで人々は失望するでしょう。なぜならこの本も映画もそのような彼らの期待に答えきることはできていないのですから。今、このような現象を通じてどんなに宗教的、精神的教育が重要かということを再確認することができます。今の人々はどんなことでも信じる用意ができているように見えます。信仰の喪失は常に人々を迷信へと導くのです」と述べた。
この映画はキリスト教団体らからイエスキリストがマグダラのマリアと結婚して一子を儲けたという内容に関して反感を買っている。カンヌ映画祭前日16日の報道記者向け上映会では冷笑の入り混じった批判を受けた。
映画の中のオプス・デイメンバーで残忍で自虐的な修道士シラスが主な登場人物の1人として挙げられるが、現実のオプス・デイでは修道士は1人もいないという。
ある聖職者、神学者、オプス・デイのメンバーらによって結成された「ダヴィンチコード」対策団体はこの映画に「この映画の中の活動はフィクションです」と但書きすることを要請した。この団体はダン・ブラウン氏と映画制作者らを誤った架空の活動をまるで事実であるかのようにメディアを駆使して言い広めているとして訴えている。
この対策団体によって世論調査が行われ、その調査ではダン・ブラウン氏の著書を読んだ人々はイエスキリストはマグダラのマリアと結婚したのだと信じ込む人が本を読んでいない人々の2倍存在することを明らかにした。
このダヴィンチ本に書かれていることの不当性を明らかにしようと活力的に奮闘しているあるカトリック教会はとりわけ本が映画化されることで世の人々のキリスト教に対する信仰心を脆弱化させるのではないかと懸念しているという。
世論調査に答えたダヴィンチ本を読んだことのある人々のうちの60%はイエスとマグダラのマリアが結婚したのは事実であると信じているという。一方、ダヴィンチ本を読んだことのない人のうちで、そのように信じる人の割合は30%であったという。
ダヴィンチ本の読者らはまたカトリック組織「オプス・デイ」は残忍な教派であると信じる人の割合は14%で、これはダヴィンチ本を読んでいない人の4%という割合のおよそ4倍にも上ることも明らかになった。この調査結果は英世論調査会社"Opinion Research Business"によって1000人の一般の人々を対象に調査した結果得られたものである。
英オプス・デイ広報官のジャック・バレーロ氏はこの調査結果に驚愕しており、「私たち『オプス・デイ』が1928年に創立されて以来、私たちはその活動を通してもっとも高尚な道徳的価値基準の促進、キリストの愛の伝達、そしてキリスト教の理解の促進のために努めてまいりました。それにもかかわらず、『ダヴィンチコード』という作り話一つで多くの人々が私たちが残忍な組織であると信じ込んでしまうということでしょうか。私たちは『ダヴィンチコード』はその内容を真面目に受け取らない限り現実的にはなんら害のない娯楽映画であるという見解をしてきましたが、今回の世論調査で多くの人々が映画の内容を真面目に受け止めているという事実を知った以上、カトリック教徒らがこの映画を鑑賞して楽しむことは難しいでしょう」と述べた。
「ダヴィンチコード」対策団体代表の1人でウェストミンスター寺院大司教のAusten Ivereigh博士は「今回の世論調査では多くの人々が『ダヴィンチコード』は単に娯楽映画ではないと受け止めていることが明らかになりました。予想外の多くの人々がこの映画の内容を真面目に受け止めているということは実に憂慮すべき現象であると思います」と述べたという(英"Ekklesia")。
一方『ダヴィンチ・コード』映画監督のロン・ハワード氏は映画の但書きについて、この映画は単なる架空のスパイ映画であるゆえにそのような但書きは必要ないと答えているという。
Ivereigh博士は、「始めから、『ダヴィンチ・コード』のマーケティング戦略にはこの映画の中で述べられている架空の理論を尊重する様子が伺えました。ブラウン氏とソニー社はこの映画の内容がフィクションであるということをあえて隠して人々がこの映画の内容を深刻に受け止めるようマーケティング活動を通じて奨励しています。私たちの行った世論調査では彼らが彼らのキリスト教に対する不誠実さの責任を取るべきだということを露わにする結果となりました。この映画は人々の霊的な健康を甚だしく害しています」と訴えた。