「いま、日本の若者たちは生きていくことの素晴らしさ、生きている意味を失いつつあるように思います。それを追求している人が少ないことを実感しています。ですから、将来的にはキリスト教精神に基づいた学校を作り、そこで聖書をベースにした教育を提供し、従来の教育体制を刷新することで若者たちに夢と希望を与えることができればと思います。その夢とビジョンを成し遂げるために、今の仕事を頑張っています」
試供品(サンプル)をインターネット上で提供するという画期的なビジネスを展開する株式会社ルーク19の代表取締役社長を務める渡辺明日香さんが抱く夢とビジョンは大きい。同社は日本に増え続けているフリーターやニートなど、物質的には満たされているが心が満たされていない若者たちに、夢を追う楽しさ、働くことの素晴らしさを示すリーディングカンパニーになることを企業理念として掲げている。時代の風潮に流され、かつてほどの勢いとハングリー精神を失っている日本の若者たちを見て、「日本の教育体制を変えなければならない」と渡辺氏は奮起した。そして神の啓示に従い、ルーク19を起業するに至ったという。いま日本の若者たちに足りないものは何か。どうすれば彼らを変えることができるのか。そのために渡辺氏はいま何をしようと考えているのか。渡辺氏が本紙に対して語ってくれた。
株式会社ルーク19の企業理念について
いま、日本にはフリーターやニートたちが多く存在するようになりました。日本は豊かな国であり、人々は物質的には満たされています。しかし、彼らの心が満たされていません。若者たちが生きる意味と未来に対する希望を失い、犯罪や引きこもり、依存症などに走り、日本社会に深刻な被害を与えています。ですから、私たちは日本の若者たちに大きな夢と未来への希望をもって生きることの素晴らしさを教えてあげたいと思いました。
私が以前の会社で営業の仕事をしていたときに、10年間に数万人の人たちと接してきました。そして多くの人たちが夢や希望をあまり深く考えることなく生きているという現実を目の当たりにし、驚きました。そんな背景もあって「今の日本の教育体制をなんとかしなければ!」と思い立ったのです。神さまから起業の啓示があり、その後起業することになりました。ですから「日本の教育体制を刷新し、若者たちに夢と希望を与えること」をルーク19の企業理念として掲げました。
クリスチャンは伝道を通して一人ひとりに夢と希望を与えることが出来ます。しかし、個人伝道では限界があります。一度にたくさんの人を伝道することができれば・・・と思いました。私は少しでも多くの若者たちに生きていくことの素晴らしさ、生きる意味、生まれてきたいのちの追求、自分の潜在能力、自分に与えられた使命、自分の存在の価値に気付いてほしいのです。そのためにはキリスト教精神に基づいて心を大切にする学校が必要だと思いました。従来の教育機関では若者たちの考えや意見が尊重されない雰囲気があります。そのために若者のたちが無気力、無感動、夢がない、日本に対する期待感が生まれない、自分の将来にも希望が見えないという深刻な状況に陥ってしまっているように思えるのです。神さまの御心とご計画があるなら、将来は学校を設立し、「教える」教育ではなく、「引き出す」教育を推進させていきたいと思っています。
株式会社ルーク19では人と人の交わりに重きを置き、人間が本来持っている輝きをそのまま活かす人材教育を目指しているとお聞きしましたが具体的にどのような取り組みをしていますか?
もちろん、会社としても利益追求だけではなく、社会貢献を推進したり様々な活動に取り組んでいきたいと思っています。社内では誰でも自分のアイディアや企画を自由に発することができ、一人ひとりのアイディアが実際の商品になったりしています。若者たちが自分の声を発信し、その企画が認めてもらえる、そのような雰囲気と場をたくさん作ることができればと思います。
また、弊社ではサーバントリーダーシップを掲げています。聖書にあるように、偉大なものになりたければまずは仕える人にならなければならないということです。ですから、社内では上司が社員に仕えるようにし、社員の一人ひとりが気持ちよく自分の能力を発揮して仕事が出来る環境づくりを目指しています。
いまの若者たちに足りないものとは何でしょうか。
ハングリー精神が足りないように思います。日本は物質的に豊かな国ですから、飢え乾き、お腹が空いて餓死することはないと思います。だから本当にほしいものを自分の力で手に入れようとしない傾向があります。親の子どもに対する接し方も甘くなってきているように感じます。
なぜ、若者たちが生きる活力を失ってしまったのでしょうか?
創造論を知らないというのもあるのではないでしょうか。進化論には夢がないように思うのです。神さまは人間を創造するときに、一人ひとりにご計画を立てられていると思うのです。そのビジョンに基づいて、神さまは私たちを価値ある尊い存在として創造してくださったのです。神さまは「あなたは高価で尊い存在です。すごい能力を与えられているのです」と語っておられるのに、私たち人間の多くはそのことを知りませんし、知ろうともしないのです。それは学校で進化論が教えられているからではないでしょうか。創造論が教えられていないことが問題だと感じています。進化論では、「あなたは猿から勝手に進化したのです」「あなたは勝手に生まれたのです」のように学習します。そのために、「私は目的なしに生まれてきた」「勝手に生きている」という考え方が生じ、生きることに意味と希望を見出せなくなってしまうのです。そうではなく、「あなたは神さまによって目的があって造られたんだよ」「あなたは愛されるために生まれたんだよ」と創造論を教えることには意味があると思うのです。
渡辺さん個人が抱く夢とビジョンは何でしょうか。
もし御心なら、メディアを通して大衆伝道の道もありかと思います。個人伝道はすでに多く経験してきました。しかし、時が迫っている今は、もっと多くの人たちの前で福音を語る必要があると思っています。そのためにはメディアの力を借りることが必要不可欠です。テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、インターネットなどあらゆるメディアを用いて広く大勢の人に福音を宣べ伝えなければならないと感じています。クリスチャンの前で語るのは牧師先生の仕事ですが、私には多くのノンクリスチャンの前で証しをする使命が与えられているような気がしています。
もう一つは先ほども話しましたが、幼稚園から小・中・高まで一貫したクリスチャン教育体制を日本に作ることです。そのために、聖書を基盤とした教育方針を尊重する学校や教育機関を作れればと思っています。
そして将来的には、ノンクリスチャンたちが数多く集まる大きな礼拝堂があればいいなと思います。そこには、牧師やクリスチャン実業家、国内外の著名人、芸能人やスポーツ選手などがゲスト・スピーカーとして招かれ、彼らの証しやサクセスストーリーを聞くことができるのです。基本的にクリスチャンの講演者を招き、ノンクリスチャンたちに神さまを信じる素晴らしさを伝え、夢と希望を与えることができるような場所です。
夢とビジョンは大きいですが、私が好きな言葉にヘブル書11章1節のみことばがあります。そこには、「信仰は望んでいる事がらを保証し、目に見えないものを確信させるものです」とあります。私は信仰によってすでに確信しています。それに、神さまが成し遂げてくれるものであって私はそのための器にすぎません。もし人間がすることならば、20年、30年くらいかかってしまいそうなことですが、神様が動かれればそれこそ2、3年で実現してしまうでしょう。
それに、福音伝播は神さまからの大宣教命令です。クリスチャンに対する神さまの命令です。ですから、もしクリスチャンであるならばその命令に従わなければならないと思います。聖書には「全世界に出て行って全ての人を弟子にしなさい」とはっきり書かれています。ですから動かなければならないと思います。聖書の教えに従うべきだと思います。クリスチャンたちが眠ってしまってはいけないと思います。
なぜ今クリスチャンたちは眠ってしまっているのか。
サタンの働きです。誰でも救われた時は情熱があります。しかし、そこから半年、1年、2年経つうちに次第に惑わされていくのです。世の中に惑わされていきます。クリスチャンとは天に所属しているものであり、国籍が天にあります。今はそこから地上へ旅しているだけなのに、クリスチャンの多くは世の中を住処にしてしまい、そこに根付いてしまっているような気がします。しかし、そのように生きてはいけないのです。私たちが定住する場所は天にあるのであって、ここは旅路の場でしかないわけですから、ここでいい生活をしようとか欲を満たそうとするのではなくて、天に宝を積む生活をするべきだと思います。
株式会社ルーク19とは一言で言うとどのような会社ですか?
ルーク19の社長は神さまです。この会社は私たちの意志で動いているのではなくて、神さまのご計画に預かって存在しているのです。私たちは何か重要な決断をするときはいつも神さまに祈り求めてから実行することにしています。ルーク19は神さまがその御心とご計画を成し遂げられるために造られた神さまの会社です。ですから私たちは、ルーク19が神さまの御心のために尊く用いられることを願っています。
最後に日本のキリスト教界に対して一言
日本の教会はあまり外に向かっていないと思います。牧師先生たちの多くはどのようにして自分の教会を発展させ、守っていくかに焦点を当てがちだと思います。いまクリスチャンたちはすごく狭い世界で動いているように感じていますが、これからはもっと外に目を向けていかなければならないと感じています。
本当にもう時は迫っていると私は感じています。もう刈り入れるだけなのに、収穫は本当に多いのにその刈り入れる人が少ないのです。2007年は大きなことをしていかなければならないと感じています。日本の福音化のためにすべきことは多いです。