最近の世論調査によると、イギリス人の半数以上がかの有名なチャールズ・ダーウィンの進化論を地球生命の発展を説明する最高の理論であるとは考えていないことが明らかになった。また世論調査に答えたうちの40%の人は学校の科学の授業の中で『創造論』や『知的創造論(ID)』の見解を導入するべきである考えていることがわかった。
先週放映されたBBCホライズンシリーズ番組の一環"The War on Science(科学における戦争)"という番組の中で英調査会社"Ipsos MORI"によって行われた世論調査の結果が公表された。2千人以上の人々が調査に参加し、地球生命の起源と発達を説明するのに最も適した見解は何だと思うかとの質問に回答した。その結果、参加者のうち22%は創造論だとし、17%が知的創造論(ID)、そして48%が進化論が最も適していると答え、わからないと答えた人は13%であったという。
知的創造論(ID)とは地球生態系は大変に複雑であるということから、自然淘汰によってランダムに生態系が構成されてきたわけではなく、そこには何らかの知的創造者による意思が働いているという考え方である。
ホライズン番組編集者のアンドリュー・コーヘン氏は「今回の世論調査は地球生命起源に対するイギリス人に対する最初の調査であったと思いますが、私は当初、大部分の人々が進化論を信じていると答えるだろうと思い込んでいました。しかし今回の調査で多くのイギリス人がその代替となる生物起源に関する理論を信じていることが明らかになりました」と述べた。
世論調査では3つの選択肢、進化論、創造論、知的創造論(ID)の中から調査参加者は生命の起源と発達についての見解を選択し、その後どの理論が学校の科学の授業で教えられるべきかと尋ねられた。その結果44%の人が創造論、41%の人が知的創造論、69%の人が進化論が教えられるべきだと答えたと言う。また世論調査の結果によると、55歳以上の回答者は進化論よりむしろ創造論や知的創造論を選択する傾向が見られたという。
コーヘン氏はこの結果について、「このことは実にわが国における科学教育の役割、そしてどのように私たちが進化論を教えられてきたかについて疑問を投げかけることになった」と述べた。
科学団体の関係者はこの結果に驚きの意を表明した。英国学士院学長マルティン・リー氏は「ダーウィンの進化論に対していまだこんなにも多くの人々が疑問を抱いていることに大変驚いています。ダーウィンはおよそ150年前に進化論を提唱しました。そしてこの理論はいまや莫大な証拠により支持されているのですが、しかしながら私たちは米国と比べれば英国内のどんな主要な宗教団体、文化団体も科学の授業で進化論を教えることに対して反対運動を起こしていないということで幸運に思います」と述べたという。
最近米国では「知的創造論」として知られる理論は授業で神の存在を導入したいという欲求に動機付けられたものであるという判決が裁判で出されたことで有名である。この裁判はペンシルバニア州の保護者が学校の教育委員会に申し入れ、連邦裁判所に訴えを起こした。この保護者は学校では生物学の授業の中で進化論を唯一の理論であるとして教えるべきではないと主張したという。