イギリス国教会とその世界的組織である聖公会(アングリカン・コミュニオン)の第二位の座を占めるヨーク大主教は今週トニー・ブレア政府に対し、法律を副産物のような下等な地位に引き下ろすことにつながるとして、行過ぎた規制法案の提案・可決について批判した。
2005年に公式にヨーク大主教の座についたジョン・センタム博士は英国貴族院(上院)で宣誓をした後、英国政府に対し声を上げた。
センタム博士が政府に対する批判を上げたことは、センタム博士が上院において活動的な議員になろうとしていることをはっきりと示している。
このヨーク大主教はウガンダで弁護士、裁判官を務めた経験があり、上院におけるセンタム博士の議員としての役割に対してはとりわけ多くの信任状が寄せられた。
センタム博士は「私が強く感じていることはもし常に多くの法律を制定し続けるなら、法律制定者は短絡的な決断で法を制定しないように極端すぎるほど繊細に注意しなくてはならなくなります。私は今英国にはあまりに多くの法律があると思っております。多くの法案を制定すればするほど、社会的不安定な状況を作り出すことになります。法律と言うものは私たちにどのように私たちが社会秩序を保つために規制されるべきかを示すのにはよい物です。しかし、法律をあまりに作りすぎると、法律の質が劣化してしまいます。」と過剰な法律の制定について批判した。また、ブレア首相の政策に対する欠陥を指摘しながら、センタム博士はブレア首相率いる労働党が9年前に政権与党となってからどれだけの法案が制定されてきたか調査することを呼びかけた。
またこの大主教が指摘した過剰な法案の一つが、最近議会で可決されつつあるテロ対策法案である。この法案は外国人テロ容疑者を裁判なしに拘束するのはヨーロッパ人権条約に違反するという判決が出た後に導入されたものである。
このウガンダ生まれの牧師は「容疑者を長く拘束させておけば、より自白を得る事が容易になるとは誰も証明できていない。私は1991年に制定された人に害を及ぼす種類の犬の飼育を取り締まる『危険な犬種取締り法案(the Dangerous Dogs Act)』を覚えています。これはとても短い期間で制定されました。しかしこの法案の制定動機は正しかったのですが、この法案の効果は長くは続かないことはすぐに明らかになりました。私はわが国は国を破壊しようとする者から国を守らなければならないと強く感じています。私は暴力には絶対的に反対する立場を取っています。しかし私たちはテロリズムが何なのかについてより厳密な定義づけをしなければなりません。」と短絡的な法案制定を強く批判した。
元最高裁判事で警察官の間における制度的な人種差別を浮き彫りにさせ、世に広く知れ渡った1993年に殺害された黒人英国男性スティーブン・ローレンス(当時18)さんの審理を担当したウィリアム・マックファーソン氏は、
「センタム博士は私たち国民の生活にはかりしえない恩恵を与えている。そしてセンタム博士は人種差別や移民に関する問題処理に関してとりわけ秀でた才能を有している。センタム博士の最も伝えたいことは世の中には『人間』という唯一の人種しか存在しないということなのです。」とヨーク大主教センタム博士を賞賛した。