10日から2日間にわたって東京・永田町の星陵会館にて行われた「ビル・ウィルソン東京大会2007―逆境をはね返す大成功の法則―」が11日、感動の中で閉幕した。同大会でウィルソン師が伝えたメッセージのテーマは「変化(トランスフォーメーション)するための土台を整える」。今大会でウィルソン師は「変化」するための基礎として4つのことを説き明かした。最終日となったこの日の午後2時から行われた第5セミナーでは、前日に引き続き3つ目の原則が明らかにされた。
1つ目は「新しいリーダーシップ(指導力)」、そして2つ目は「仕事の質の向上」だった。そして3つ目は「持続性のある変化」だ。つまり、そのとき引き起こされた「変化」は持続性をもって長続きさせなければならないということだ。「変化の成果はすぐには現れないもの。6ヵ月後、1年後、5年後に表面化されることが多いです。ですからその変化を持続させる必要があるのです」とウィルソン師は語る。
では、一体どのような人が変化を引き起こし、またその変化を持続させることができるのか。ウィルソン師はこの原則を説明するために使徒の働き14章8〜10節を取り上げた。「この3つ目の原則が皆さんの生活だけではなく、この国を変化させる力になると信じています」とウィルソン師は語った。
8節をみると、そこには同じ内容のことが3回続けてそれぞれ違う表現で書かれている。すなわち、「足のきかない」、「生まれつき足のなえた」、「歩いたことがなかった」とある。その人に、パウロが「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」と言うと、彼が「飛び上がって歩き出した」ことが描かれている。ウィルソン師はこの出来事が単なる「奇跡」ではなく、「ものすごい奇跡」であると表現した。つまり、この人は「生まれつきの足なえ」であり、一度も歩いたことがなかったにも関わらず、「飛び上がって歩き出した」とあるからだ。「普通歩くには経験や練習が必要であるはず」とウィルソン師は解説した。
「しかし、もっと驚くべきことがあります」とウィルソン師は切り出した。それは、この「ものすごい奇跡」がごく普通の平凡な人間によって引き起こされたということだ。「これこそ本当に驚くべき『ものすごい奇跡』である」とウィルソン師は語った。実際に、パウロが起こした奇跡を見た群衆が、「神々が人間の姿をとって私たちのところにお下りになったのだ」と口々にしながらパウロたちを「生き神」として崇めたことが11〜12節に書かれている。
「パウロも普通の人間です。しかしその彼がものすごい奇跡を起こしました。だから私たちにもできるのです。私たちも『変化』を起こすことができるのです」とウィルソン師は観衆らに強く訴えた。
実際に、ウィルソン師自身がそのような奇跡を経験した。同師はメトロ・ミニストリーを始めてから何度も死ぬ間際を経験し、その寸前で命を救われてきた。強盗に襲われた際にも、普通は不発することがない銃の一発目が不発に終わり、2発目も頬を貫通したものの一命は取り留めた。「皆さんが見ているのは『生きた奇跡』です。いまそれを目撃しているのです」とウィルソン師が証しすると、観衆から大きな拍手が送られた。
一方、現在メトロ・ミニストリーの代表を務める同師は、今までかつて誰も手をつけたことがなかったニューヨークのスラム街で2万人以上の子ども達を伝道し、さらにマレーシア、シンガポール、フィリピンでも巨大な教会学校を展開していることから、「こんなものすごいミニストリーを作った人だからきっとものすごい奴なんだ」とよく人から勘違いされることが多いという。しかし、「その奇跡的な出来事を引き起こしたのはごく平凡で何も持たない私なのです」とウィルソン師は証しした。そのうえで、「だから皆さんにもできます。私だって出来たんだから」と観衆らを励ました。
「神の栄光はすばらしいです。パウロもバルナバもみんな普通の人でした。しかし聖霊が働く時にこのような『ものすごい奇跡』が引き起こされるのです」とウィルソン師は語る。
しかし、このような「奇跡」が起こる現場では、イエスが経験したように必ず迫害と攻撃がつきものだ。使徒の働き14章19節をみると、ユダヤ人たちがパウロを殺しにやってきたことが書かれている。「今でも同じです。何か新しいことを始めようとすると必ず頭の固い宗教指導者たちがやってきてその働きを妨げようとするのです。彼らは自分たちの枠組み、伝統、身分などに固執する人たちであり、決して『奇跡』を受け入れようとしません」とウィルソン師は嘆いた。続けて、「何か新しいことを始めてもこのような迫害者が必ず現れます。だから変化が長続きできないのです」と訴えた。ウィルソン師自身も、メトロ・ミニストリーをしながら多くの教会指導者たちから迫害と攻撃を受け続けているという。
「今までの固定観念を捨てるべきです。枠組みを捨てることは怖いかもしれません。しかし、イエス様と一緒に一歩踏み出すべきです。教会の多数派を怖がると何もできません。臆病にならず、『変化』を引き起こそうとするべきです」、「誰でも変化を起こすことができます。しかし何か新しいことを始めようとすると必ず妨害があります。頭の固い人たちから妨害されます。でも止めないでください。悪魔が働きかけているからです」とウィルソン師は熱く説教した。
「変化」や「奇跡」を引き起こすことが出来るのは、力がある者でもなく、お金がある者でもなく、ごく普通で平凡な『私自身』なのだ。聖霊がその祈りをとりなしてくださり、神を絶対的に信じる信仰が大きな「変化」を生み出す。しかし、何か新しいことを始めようとすると必ず「迫害」と「妨害」がやってくる。しかしそれに負けないこと。止めないこと。そのことをウィルソン師は教えてくれた。ウィルソン師は最後に、「主イエスキリストの御名によって変化を起こしてください!皆さんが変化を起こせば、神が必ずこの国に、この地に変化を起こしてくれます」と拳を握り締めながら、強く、そして切なく、観衆らに呼びかけた。
セミナーの参加者からは、「普通の人でも奇跡を起こすことができるというメッセージを聞いて自分でも何かできるのではないかと思った」、「私でも何かができるはず。勇気をもって一歩を踏み出したい」、「いま子ども達のためのミニストリーをしているのでその奉仕のために今回の教えを役立てたい」という声があった。