アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)に派遣されていた宣教師が1945年から'78年頃にかけて女児ら22人を性的に虐待した事件を受けて、この宣教師を派遣した米合衆国長老教会(PCUSA)は15日(現地時間)、教会総会で、虐待が発覚した場合の手続きを明確に記した教会憲法修正案を賛成票多数で採択した。発見者に警察通報を義務づけるほか、司法判決前に容疑者が死亡または犯行を自認した場合の職制審査基準、容疑者の有罪確定後、被害者による虐待体験の公言の許可などを盛り込む。7月3日付けで施行される。
同教会が公式サイトに掲載した報告によると、当時コンゴで外国人学校の校長をしていた同教会の宣教師、ウィリアム・プルイット容疑者が、同校に通う幼女や少女22人に対して性的・精神的虐待を行った疑い。被害者はいずれも他の宣教師の子供という。虐待は少なくとも計51件報告されている。容疑者は事件発覚の1年後である1999年に死亡している。
教会員が子供や成人に対する虐待を発見した場合、教職者、長老、執事は規定に従って警察に届け出る義務を負う。教会内で虐待に対する認識を高めて事件を未然に防ぎ、被害者の人権を保護する体制を強化するのが狙いだ。
告発された側の人権保護に偏重するこれまでの姿勢から一転して、教会内では比較的弱い立場に置かれやすい一般信徒の声を最大限尊重する。
同教会幹部からは「(長老教会特有の)牧会形態が大きく変わろうとしている」(同教会教憲・礼典委員長)との指摘もある。
同教会の性的虐待連絡部門の担当者パット・ヘンドリックス牧師は「コンゴでの虐待は、いま教会で起こっていることを端的に示す例として、大きな意味を持つ」と虐待事件を振り返っている。